今年も昨年に続き、新型コロナウイルスの感染が収まらない中でクリスマスを迎える。主流だったデルタ株に代わり、欧米などで新たな変異株「オミクロン株」が猛威を振るう中、各国は経済活動への影響を抑えつつ、感染拡大を食い止める方策を探り苦悩している。
 ◇人気公演、相次ぎ中止
 デルタ株による感染拡大が落ち着き、クリスマスに向けて盛り上がりを見せていた米国だが、オミクロン株の流行で様相が一変した。ニューヨークのブロードウェーはクリスマスから年始にかけてが一番の書き入れ時だが、関係者に陽性者が続出し「ライオンキング」や「アラジン」など、人気ミュージカルの公演が相次ぎ中止に追い込まれた。
 バイデン大統領は「準備はできている」と国民に冷静な対応を呼び掛けているが、感染は急激に広がっている。ニューヨーク・タイムズ紙によると、一部の都市では、わずか2~3日で感染者が倍増。全米の1日当たりの新規感染者数は、デルタ株のピークだった9月上旬を既に上回っているという。
 ◇規制強化は見送り
 英国ではオミクロン株がまん延し、1日当たりの新規感染者が10万人を超えた。ジョンソン首相は「家族や国家全体のためのクリスマスプレゼントとして、素晴らしいものがある。ワクチンを接種することだ」と呼び掛けつつ、クリスマス前の規制強化を見送る方針を決めた。
 首相は規制下にあった昨年、官邸でパーティーを開いていた疑惑などで支持率が急落中。国民が待ちわびるクリスマスを「守る」ことで、人気回復を狙ったと疑う見方もある。ただ、休暇中の交流が感染をさらに広げる恐れもあり、首相の戦略は「高リスクの賭け」(ガーディアン紙)だ。
 一方、感染状況が英国ほど深刻でないドイツでは今年、多くの都市でクリスマス市が開かれた。ワクチン接種証明やマスク着用義務などの規則を厳格化し、感染封じ込めと娯楽や経済とのバランスを取った。フランス政府も恒例のパリ・シャンゼリゼ通りでの年越し花火を昨年に続き中止する以外、年末年始で特に大きな規制強化は行わない方針だ。
 ◇キリスト生誕地は外国人激減
 イエス・キリストの生誕地とされるパレスチナ自治区ベツレヘムには通常、多くの外国人観光客が訪れ、24、25の両日には恒例のミサなどのクリスマス行事が催される。しかし、新型コロナの感染拡大で昨年から来訪者が激減した。
 現在、オミクロン株の影響でイスラエルが外国人の入国を原則禁止する措置を取っているため、イスラエル占領下にあるベツレヘムへ足を運ぶのは大半が地元や近隣の住民。地元の観光業にとって、クリスマスシーズンは2季連続で打撃を受けている。
 ◇警戒強める韓国
 世界の中では比較的感染者を抑え込んできた韓国も強い警戒の中でクリスマスを迎えた。24日発表の新規感染者は、オミクロン株による16人を含む6233人だ。
 18日から飲食店の営業は午後9時まで。私的な集まりは4人までと再び制限が強化された。
 韓国はキリスト教徒が多い。しかし、ミサはワクチン接種完了者だけの場合でも、礼拝堂収容人数の7割までと制限された。ほぼ全面的にオンラインだった昨年よりは緩和されたが、関連行事も縮小・中止になり、今年も静かなクリスマスとなる。 (C)時事通信社