新型コロナウイルスの治療の切り札として期待される飲み薬が、続々登場している。米製薬大手メルクの「モルヌピラビル」の他にも、同ファイザーの「パクスロビド」が米欧で緊急使用許可を受け、日本でも近く承認申請される見通しだ。国内では塩野義製薬も年内の申請を目指している。
 開発中の飲み薬の多くは、ウイルスの増殖を防ぐ抗ウイルス薬だ。モルヌピラビルは「RNAポリメラーゼ」という遺伝情報の複製に必要な酵素の働きを阻害し、ウイルスが増えないようにすることで重症化を防ぐ。
 ファイザーや塩野義の抗ウイルス薬は「3CLプロテアーゼ」という別の酵素を阻害する。ファイザーはエイズウイルス(HIV)などの治療に使われる「リトナビル」と併用することで効果を高め、臨床試験(治験)では入院や死亡のリスクが9割近く低下した。
 抗ウイルス薬はワクチンや抗体カクテル療法などの中和抗体薬に比べ、ウイルスの変異に強いとされる。外来で処方することで重症化を早期に抑制し、医療システム崩壊を防げるとの期待もある。
 ただ、富士フイルム富山化学のインフルエンザ治療薬「アビガン」は、有効性を示すデータが不十分で承認が見送られ、再治験を進めている。米バイオ医薬品企業アテアの「AT―527」も治験で有効性を確認できず、計画修正を迫られるなど、開発が難航している薬も少なくない。 (C)時事通信社