【ワシントン時事】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)が早期の利上げを視野に入れる中、資金が新興国から流出するリスクが高まっている。新興国は新型コロナウイルス危機と高インフレで苦境に陥っており、資金引き揚げが追い打ちになりかねない。
 世界の有力金融機関が加盟する国際金融協会(IIF)によると、11月の新興国への株式・債券購入を通じた資金流入は156億ドル(約1兆8000億円)と、5カ月で約7割も減った。中国を除けば約60億ドルで、IIFは「中国以外の新興国への資金流入は突如止まった」と分析した。
 資金の流れが変わった背景にあるのがFRBによる早期利上げ観測。米国の景気回復を受け、FRBが前倒しで金融引き締め局面に入ることを見越した投資マネーが米国の資産に向かっている。
 ドル建て資金に頼る新興国経済は、米金利動向に大きく左右される。FRBの利上げでドル高が進み新興国通貨が下落すれば、こうした国では原油などドル建て輸入品の代金支払い負担が増える。輸入品の値上がりはインフレ加速を招き、景気悪化にもつながる。
 景気後退に陥ったブラジルの中銀は今月8日、政策金利を1.50%引き上げて9.25%とした。回復の足かせとなるが、深刻なインフレの抑制と通貨安阻止のため利上げを余儀なくされた。中銀は「新興国には一層困難な環境になる」と身構える。
 市場の一部では、FRBが来年3月に量的金融緩和を終えるのと同じタイミングで、ゼロ金利政策の解除にも踏み切るとの観測がくすぶる。国際通貨基金(IMF)は「米金融政策の正常化が加速することで、ドル建て融資に依存する国のリスクが高まる」(報道官)と警告している。 (C)時事通信社