秋田県男鹿市の大みそかの夜の伝統行事「ナマハゲ」が再開に動いている。昨年は地区の約6割が中止したが、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いている今年は7割近くが実施する予定だ。訪問を玄関前までにとどめる地区がある一方、「コロナを気にするナマハゲは本来と違う」と中止する地区もあり、伝統と新しい生活様式の間で揺れている。
 市によると、過去3年間にナマハゲを開催した93地区のうち、昨年は58地区が中止した。今年は中止が25地区と減る一方で、62地区が実施。残る6地区は検討中という。
 大倉地区は昨年と同様、玄関前までの実施を決めた。今年もナマハゲ面の下にマスクを着用し、家で提供される酒や食事を断るなど、対策を継続する。同地区の実行委員会代表、吉田和仁さん(38)は「家に上がることも検討したが断念した。安全と誰もが納得できる形で行いたい」と話す。
 曙町2区のなまはげ委員会は新変異株「オミクロン株」を警戒し、2年連続中止を決断した。同会の三浦良忠代表(63)は「ナマハゲは厄をはらう怖い存在。家に入らず、感染リスクを考えてやるのは本来の形と違う」と強調。「来年は心配なくできるようになってほしい」と願う。
 コロナ禍で、行事の成り手不足が深刻化した地区もある。昨年は中止した若美地区の渡部町内会は例年、ナマハゲ役を30人ほど確保していた。再開する今年は医療・福祉従事者十数人が感染リスクを懸念し辞退したため、約20人しか確保できなかった。行事を簡素化して乗り切る考えだが、高齢化や若者の関心の薄れから活動に携わる人々は年々減少が続き、不安の種となっている。
 同会の安田政司副会長(70)は「ナマハゲは地域全体の交流を支えている。他の行事は中止になっても、ナマハゲだけは途絶えないよう努力したい」と話した。 (C)時事通信社