コミック『宇宙兄弟』(小山宙哉著)に登場し、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の研究に取り組むキャラクターの名前を冠し、ALSに関する研究費を助成するプロジェクト「せりか基金」の第5回授賞式が、12月17日にオンラインで開催された。今回の授賞式では、愛知医科大学神経内科講師の中村亮一氏ら過去最多となる6人のALS研究者に助成金(総額900万円)が交付された。(関連記事「ルーツは『宇宙兄弟』-ALS研究基金を助成」)

ALS病態関連遺伝子を探るレジストリ研究などを選定

 受賞者は1位受賞となった中村氏の他、徳島大学大学院遺伝情報医学教授の森野豊之氏(2位受賞)、岡山大学病院脳神経内科講師の森原隆太氏、日本大学薬学部専任講師の徳田栄一氏、新潟大学脳研究所脳神経内科の畠野雄也氏、量子科学技術研究開発機構脳機能イメージング研究部の建部陽嗣氏(4氏とも3位受賞)の計6人に決定した。

 1位受賞の対象となった中村氏の研究テーマは「リピート伸長変異を含む構造多型の網羅的解析によるALS病態関連遺伝子の探索」。ALS患者のレジストリ研究で、ALSの発症や進行に関する臨床的、遺伝的な因子を明らかにし、将来の治療法開発につながる成果を得ることを目的とするJaCALS(Japanese Consortium for Amyotrophic Lateral Sclerosis Research)を構築・管理し、研究結果の解析に取り組んできた点が評価された。

 受賞に際し、同氏は「海外では、C9orf72遺伝子やATXN2遺伝子におけるリピート伸長を有するALS患者を対象に遺伝子治療の治験が実施されているが、日本人ALS患者ではそれらを有する割合は非常に低いことが分かっている」と説明。「多くの方々から頂いた助成金を活用しながら、JaCALSを通じて日本人ALS患者に多いリピート伸長を同定し、治療法の開発へと進めていきたい」と意気込みを語った。

 2~3位の受賞対象となった研究テーマは以下の通り。

2位受賞(森野氏):「ALSのエピトランスクリプトーム解析による病態解明」
3位受賞(森原氏):「ALSを引き起こす液-液相分離の網羅的解析」
3位受賞(徳田氏):「エンドソームから拡大するALS病因タンパク質凝集体の細胞間伝播」
3位受賞(畠野氏):「テキストマイニングで見いだされたALS原因候補遺伝子の機能解析」
3位受賞(建部氏):「高感度デジタルELISA法を用いたALS血液診断システムの開発」

(陶山慎晃)