米・Baylor University Medical CenterのRobert L. Gottlieb氏らは、1週間以内に発症し重症化リスクがあるものの入院には至っていない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者562例を対象に、レムデシビルの3日間投与の有効性と安全性を検討する二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)を実施した。その結果、早期のレムデシビル3日間投与の安全性が確認され、レムデシビル投与群では入院または死亡のリスクがプラセボ群よりも87%低下したとN Engl J Med2021年12月22日オンライン版)に発表した。

12歳以上の重症危険因子保有者が対象

 レムデシビルは日本では2020年5月にCOVID-19治療薬として特例承認された。同薬は中等度~重度のCOVID-19入院患者の転帰を改善するとされている。しかし、有症状だが非入院で疾患進行リスクの高いCOVID-19患者に対し、入院に至る重症化を防ぐことができるかは不明である。

 Gottlieb氏らは今回、非入院COVID-19患者におけるレムデシビルの有効性と安全性を検討するため、2020年9月18日~21年4月8日に、米国、スペイン、デンマーク、英国の64施設で二重盲検プラセボ対照RCTを実施した。

 対象は、12歳以上で過去7日以内に症状が発現し、疾患進行の危険因子を少なくとも1つ保有する非入院のCOVID-19患者562例(白人80.4%、女性47.9%、平均年齢50歳、平均BMI 31.0)。危険因子は60歳以上、肥満、特定の併存疾患(高血圧、心血管疾患、脳血管障害、糖尿病、免疫低下、慢性腎臓病、慢性肝臓病、慢性肺疾患、がん、鎌状赤血球症)とした。対象を、レムデシビルを静脈内投与(1日目に200mg、2日目と3日目に100mg)する群(レムデシビル群、279例)とプラセボ群(283例)にランダムに割り付けた。

 有効性の主要評価項目は、28日目までのCOVID-19に関連する入院と全死亡の複合とした。副次評価項目は、28日目までのCOVID-19に関連した医療機関への受診および全死亡の複合とした。安全性の主要評価項目は有害事象とした。

医療機関受診リスクも81%低下

 背景を見ると、併存疾患は糖尿病(61.6%)、肥満(55.2%)、高血圧(47.7%)が多かった。

 主要評価項目である死亡は両群とも発生せず、COVID-19に関連する入院の発生は、レムデシビル群では279例中2例(0.7%)、プラセボ群では283例中15例(5.3%)で、レムデシビル群でリスクが87%低かった〔ハザード比(HR)0.13、95%CI 0.03~0.59、P=0.008)〕。

 副次評価項目について、28日目までにCOVID-19関連の医療機関受診があったのは、レムデシビル群では246例中4例(1.6%)、プラセボ群では252例中21例(8.3%)と、レムデシビル群でリスクが81%低かった(HR 0.19、95%CI 0.07~0.56)。

 有害事象は、レムデシビル群では279例中118例(42.3%)、プラセボ群では283例中131例(46.3%)に発生し、同程度だった。両群で5%以上に発現した非重篤な有害事象は、主に吐き気頭痛、咳であった。

 以上から、早期のレムデシビル3日間投与により、COVID-19の進行リスクが高い非入院患者では、28日目までのCOVID-19関連の入院または全死亡のリスクが87%低下し、28日目までCOVID-19関連の受診または全死亡リスクが81%低下した。また、良好な安全性プロファイルを示した。

 Gottlieb氏らは「早期のレムデシビル3日間投与は、COVID-19重症化高リスク患者において入院に至る疾患の進行を防ぐことができた。パンデミック終息に向け、今回のデータはCOVID-19の治療薬として新たな選択肢を提示するものである」と述べている。

(今手麻衣)