新型コロナウイルスの感染拡大後、実績がほとんどなくなった国会議員の海外派遣費用として、例年と同水準の5億6200万円が2022年度予算案に計上された。オンライン形式の国際交流が日常化する中、議員の海外視察は成果が見えづらく「税金の無駄遣い」との批判もつきまとう。ただ、国会で抜本的な見直しを求める声は乏しい。
 議員の海外派遣は国会閉会中の半ば恒例行事。先進事例の視察や、現地要人らとの意見交換・交流が主な目的だ。衆院の場合は委員会ごとに与野党の理事らが団体で赴く。例年、通常国会が閉幕した後のお盆前後に集中している。視察中、行動を共にすることで、与野党間のパイプが築かれる利点もあるとされる。
 衆参両院によると、19年度の派遣実績は計39件だったが、新型コロナの感染が広がった20年度はゼロ。21年度は山東昭子参院議長が世界議長会議などに出席するため、9月にオーストリアを訪問した1件にとどまる見通しだ。
 派遣費用はビジネスクラスの航空運賃や宿泊料、日当などに充てられる。22年度の予算額は、衆院が3億7300万円、参院が1億8900万円で、2年連続でコロナ前と同じ規模となった。衆院事務局の担当者は「コロナ収束後を見据えて確保しておかなければ、いざ行こうとなったときに行けない。余れば国庫に返納する」と説明する。
 一方、コロナ禍でリモート形式の国際会議なども増えている。今月中旬には「アジア・太平洋議員フォーラム(APPF)総会」が韓国国会の主催によりオンライン形式で行われた。こうしたオンライン会議などリモートの議員間交流に、海外派遣費用は使われないという。
 予算の妥当性について野党からは「本当に意味があるのか、と思う視察も過去にあった。ただの旅行との批判もあるので、見直すべき部分は見直さなければいけない」(日本維新の会衆院議員)との指摘もある。ただ、抜本的な見直しを求める声が与野党に広がる気配はない。 (C)時事通信社