新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染者が国内で初確認されてから30日で1カ月。経路不明の市中感染は全国に拡大しつつある。感染力の強さは顕著で、専門家は「大流行の一歩手前。拡大防止に向け今が勝負の時だ」と話す。
 オミクロン株は11月30日、空港検疫で感染が確認され、今月22日には大阪府で市中感染が初めて判明した。厚生労働省によると、28日時点の感染者は332人。同省専門家組織は「感染拡大が急速に進むことを想定すべき状況」と分析した。
 京都大の西浦博教授(理論疫学)によると、感染者1人が平均してうつす人数「実効再生産数」はデルタ株の2.8~4.2倍に上る。新規感染者は2日間程度で倍増するとの見方もあり、感染は100を超す国で確認された。米国では新規感染者に占める割合が、11日までの1週間は12.6%だったが、2週間後には58.6%に急増したと推定される。
 西浦教授は、国内初のオミクロン株のクラスター(感染者集団)が発生した大阪府で、来年1月11日に同株の割合が9割を超える恐れもあると指摘。名古屋工業大の平田晃正教授(医用工学)らは人工知能(AI)を使い拡大ペースを試算。都内で市中感染が今月25日に起きたとすると、1日の感染者は来年2月中旬に3000人を超える。
 ただ英インペリアル・カレッジ・ロンドンによると、デルタ株と比べ、通院するリスクは20~25%、1泊以上入院するリスクは40~45%それぞれ低いと推計された。南アフリカの研究でも、入院リスクはデルタ株より70%低かった。日本でも重症者はいないとされる。
 オミクロン株は、ワクチン2回接種後の感染も相次ぐ。けいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫医師(感染症)は「軽症や無症状の傾向だとしても、高齢者の多くは2回接種から時間がたち、感染者が増えれば一定の割合で重症者が出る。国は3回目接種を迅速に進めるべきだ」と強調。「マスク着用や手洗い、3密回避を徹底し、年末年始で帰省する際は自治体による無料PCR検査で陰性確認後に移動するなどしてほしい。流行防止へ今が非常に大事だ」と話す。 (C)時事通信社