漫画を無断でウェブサイト上に公開する海賊版サイトが後を絶たない。「漫画村」の摘発後も同種の違法サイトが次々登場し、新型コロナウイルス禍の「巣ごもり」とも相まって、上位3サイトの月間アクセス数は流行前の26倍に急増した。漫画家からは「創作意欲を失い、将来の傑作が消えてしまう」と怒りの声が上がる。
 2020年の国内の漫画売り上げは、「鬼滅の刃」などのヒットもあり、推計約6126億円と過去最高を記録。緊急事態宣言に伴う巣ごもり需要が背景にあるとみられるが、比例するようにただ読み被害も深刻化した。
 出版社などでつくる対策団体「ABJ」は、約400の海賊版サイトをリスト化。上位3サイトの月間アクセス数は、昨年1月の約1250万回から、今年10月は約26倍の3億2600万回に跳ね上がった。上位10サイトのアクセス数などから算出した推計被害額は、10月時点で7800億円を突破し、約2100億円だった昨年を大きく上回っている。
 このうち、19年12月に開設された「漫画BANK」は、累計アクセス数が10億回近くに上る巨大サイト。作品や作家の名前を打ち込む検索エンジンのようなデザインで、被害額は2000億円超とされる。
 集英社など出版大手4社は、同サイトの開設直後から連携して対応を協議。米裁判所に運営者情報の開示を申し立て、今年11月にプロバイダーのグーグルなどに対する開示命令を得た。サイトは同月、突如閉鎖されたが、4社は運営者を特定し、法的責任を追及する構えだ。
 「ラブひな」「魔法先生ネギま!」などのヒット作で知られる漫画家の赤松健さんは「今の海賊版は電子書籍と変わらないほど高画質で、発売日にウェブ上で出回っていることもある」と憤る。作品が雑誌掲載されず、電子版のみで活動している新人作家にとって海賊版のダメージは特に大きいとし、「創作意欲を失ってしまったら、将来世に出るはずだった面白い作品が消えてしまう。海賊版に手を出さないことが才能を守ることにつながるので、正規版で漫画を楽しんでほしい」と呼び掛けた。 (C)時事通信社