自民党は来年1月召集の通常国会で、国会議員任期の特例延長など緊急事態条項の創設を軸に改憲議論を進展させたい考えだ。新型コロナウイルス禍を踏まえて、世論の理解が得られやすいと判断しているためだ。10月の衆院選で、憲法改正に前向きな日本維新の会と国民民主党が議席を増やしたことも追い風とみている。「改憲ありきの議論」と一線を画す立憲民主党が対応に苦慮する場面が増えそうだ。
 「自民党が掲げている(改憲)4項目はどれも現代的な課題だ。丁寧に議論を進めていくことが重要だ」。岸田文雄首相(自民党総裁)は23日の東京都内での講演で、安倍政権時代にまとめた党改憲4項目を軸に議論を進めたいとの考えを強調した。
 改憲4項目は(1)9条への自衛隊明記(2)緊急事態条項創設(3)参院選挙区の合区解消(4)教育の充実―からなる。
 緊急事態条項は、大地震などの大規模災害時に国会議員の任期を特例で延長することや、国会承認がなくても政府の政令を認める内容。公明党は「緊急事態で国会機能をいかに維持していくかという論点からの論議が必要だ」(北側一雄中央幹事会長)と、議員任期の延長に理解を示す。
 国民民主党幹部は「議員任期の延長特例は地方議会では既に認められている」と指摘。日本維新の会も前向きで、野党側からも一定の賛成が見通せる状況だ。
 ただ、立民は「国民からの要請とは言い難い」(泉健太代表)と主張。「護憲」の共産党も慎重な立場を崩していない。このため、立民は具体的な改憲論議よりも国民投票法のCM規制や外国人寄付規制の議論を優先するよう求めている。
 しかし、先の臨時国会では、衆院憲法審査会が2021年度補正予算案を審議中の参院予算委員会と並行して開催された。これは異例の日程で、自民と維新が強く求め、立民が受け入れた。
 通常国会でも、改憲論議をめぐり自民などによる立民包囲網に変化はないとみられる。立民幹部は「通常国会では国民投票法の改正と、改憲項目の論点整理にとどめたい」と、苦しい胸の内を明かした。 (C)時事通信社