2022年の政局は、夏の参院選が最大のヤマ場となる。岸田文雄首相(自民党総裁)は、新型コロナウイルス対策などで成果を重ねて政治決戦を乗り切り、長期政権への足場固めを狙う。対する野党は、それぞれ立場の違いを抱え、主導権争いが激しくなりそうだ。
 ◇「黄金の3年」
 「『日々これ新たなり』の思いで一日一日真剣に取り組んできた。年が明けるとコロナ対応も新時代の開拓も重要な時期を迎える」。首相は12月28日、記者団にこう強調。参院選について「政治の安定を考えた場合に大切な選挙だ」と指摘し、「参院選に向けて国民の皆さんの理解が得られるよう努力を続けていきたい」と決意を語った。
 政権発足直後の21年10月の衆院解散・総選挙で、自民党は単独で絶対安定多数(261議席)を獲得した。参院選も勝利すれば首相の政権運営は安定軌道に乗り、24年9月の任期満了に伴う党総裁選の再選戦略に弾みがつく。再び解散する場合を除き25年まで大型国政選挙はなく、政局の主導権を確保する「黄金の3年」(党関係者)を手中にできる。
 こうしたシナリオを実現するため、首相は1月17日に召集予定の通常国会で、22年度予算案の年度内成立に全力を挙げるとともに、経済安全保障推進法案やこども家庭庁設置法案など目玉政策の実現を目指す。参院選を控えるため、政権幹部は「150日間の会期は延長はしない」と明言。与野党対決型の法案提出も控える方針だ。
 ◇コロナ・沖縄が関門
 ただ、新型コロナの変異株「オミクロン株」の市中感染が各地で相次ぎ、首相は警戒感を強めている。「第6波」が現実味を帯びれば、世論の批判が強まるのは必至。感染対策と両輪の経済再生にもブレーキがかかり、政権への逆風となる。
 国土交通省による基幹統計の書き換え問題は、第三者委員会の検証結果が1月中旬にまとまる見通し。野党は追及する構えで、通常国会の争点となりそうだ。
 沖縄県では、1月の名護市長選を手始めに、秋の知事選まで続く「選挙イヤー」が本格化する。一連の結果は、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設の行方に影響を与えるため、与野党とも国政選挙並みに力を注ぐ。
 参院選の前哨戦となる4月の参院石川選挙区補欠選挙も難関だ。これに先立つ3月の石川県知事選は保守分裂となる見通しで、補選にもしこりを残す可能性がある。
 一方、足元の自民党内にも火種がくすぶる。首相が会長を務める岸田派は、党内6派閥の中で第5派閥にとどまる。政権基盤の安定には、上位3派閥の領袖(りょうしゅう)である安倍晋三元首相、麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長との連携がカギを握る。揺らぎが見える公明党との関係構築も課題だ。
 ◇共闘で温度差
 野党第1党の立憲民主党は、参院選で「自民1強」の政治状況にくさびを打ち込み、低迷する党勢立て直しにつなげたい考え。焦点は共産党との「野党共闘」の在り方だ。
 両党は先の衆院選で、国民民主党などとも足並みをそろえて213選挙区の候補者を一本化したが、比例代表と合わせた全体では議席を減らした。新たに就任した立民の泉健太代表は、参院選の1人区で共産党との選挙協力を重視しつつも、衆院選で合意した「限定的な閣外協力」は見直す方針。「同じ政権を構成するというメッセージになった」と反省を口にするが、共産党は引き続き順守を求め、着地点は見通せない。
 一方、衆院選で躍進した日本維新の会は、「全国政党」への脱皮を目指し、参院選の複数区で積極擁立に意欲を示す。国民も立民などと距離を置く独自路線を志向している。 (C)時事通信社