経済産業省は2021年度、健康面の課題を抱えながら働く女性を「フェムテック」で支えるため、サービスを提供する企業の実証実験を支援する事業に乗り出した。専門家へのオンライン相談や遠隔診療をサポートする取り組みなど、20件を選定。住民らにサービスを試してもらい、企業の事業展開に道筋を付けることが目的だ。
 無料通信アプリ「LINE」を使って不妊治療などの悩みに専門家が回答するサービスを手掛ける「ファミワン」(東京都渋谷区)は、実証事業でオンラインセミナーを開催した。悩みを持つ当事者や、住民をサポートする自治体職員らに治療の基礎知識などを学んでもらう内容だ。参加者からは、当事者の通院負担の重さが分かったといった感想が寄せられた。
 既に複数の自治体が同社の相談サービスを導入する意向で、住民に無料で使ってもらうため、予算措置を検討しているという。セミナーでは更年期や性教育をテーマとする講演も実施したが、石川勇介代表取締役は「住民や自治体にニーズがあることを確認できた」と話す。今後、対応可能な相談分野を増やす方針だ。
 医療機器の開発・販売を行う「メロディ・インターナショナル」(高松市)は、北海道余市町と周産期の遠隔診療に取り組む。町には産科がなく、近隣の小樽市の病院で妊婦健診を受ける女性が多い。特に働く女性にとって、通院は大きな負担となっていた。
 実証事業では、同社のモバイル型分娩(ぶんべん)監視装置を助産師が町内に持ち込み、妊娠後期の妊婦に装着。胎児の心拍数や腹部の張りの強さを計測したデータを送り、小樽市の医師が遠隔で確認する仕組みを構築した。二ノ宮敬治最高情報責任者(CIO)は「地域の医師がどんどん減っている。人口規模の大きな地域が小さな地域と連携することで、衰退する周産期医療を支えられるのではないか」と語る。
 生理や不妊治療、更年期を理由に離職や昇進を辞退する女性の逸失給与総額は、年間2兆円との推計もある。経産省はフェムテック企業への支援を通じ、こうした状況の打開を狙う考えだ。 (C)時事通信社