2013年6月に中止された接種の積極的勧奨が、来年(2022年)4月に再開されることとなるヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン。大阪大学大学院産科学婦人科学の八木麻未氏らは、勧奨中止よる接種率低下の影響を検証し、2000年度以降に生まれた女性では20歳時の子宮頸がん検診における子宮頸部細胞診異常率が上昇していることを明らかにした。詳細はLancet Reg Health West Pac2022; 18: 100327)に発表し、強力な子宮頸がん対策の必要性を訴えた(関連記事「子宮頸がんリスクとワクチン接種率に逆相関」、「HPVワクチン、CIN3も予防を初の証明」)。

導入前世代の予測値と近似

 八木氏らは24の自治体(人口計約1,315万人)から、1989~2000年度出生者の20歳時の子宮頸がん検診結果(未受診者は21歳、2000年度生まれは20歳のみ)と、1994年度以降出生者の16歳までの累積HPVワクチン接種率を収集。定期接種の導入前世代(出生年度1989~93年)と接種世代(同1994~99年)の20歳時における細胞診異常率の推移を、停止世代(同2000年)と比較した。

 その結果、停止世代の細胞診異常率は5.04%と接種世代の3.76%より有意に高く、導入前世代の傾向から予想される数値に近似していた()。

図.出生年度別に見たHPVワクチン接種率と子宮頸部細胞診異常率

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(大阪大学プレスリリースより引用)

 一方、接種世代の細胞診異常率は、導入前世代の上昇傾向から予測される値より低く、HPVワクチンの有効性が示唆された。停止世代で見られた細胞診異常率の上昇は、積極的勧奨中止により接種率が激減したことが原因と考えられる。

 同氏らはこの結果を受け、「停止世代女性に対するキャッチアップ接種の実施と強力な子宮頸がん検診受診勧奨の重要性が示された。可及的速やかに適切な対策が取られなければ、停止世代における将来の子宮頸がんの罹患率・死亡率の上昇が現実のものとなる」と警鐘を鳴らしている。

(中原将隆)