熊本市の慈恵病院で昨年12月、10代女性が病院以外に身元を明かさず出産できる独自の仕組み「内密出産」を希望して出産したことが5日までに、同病院への取材で分かった。女性は今後翻意して身元を打ち明ける可能性もあるが、現時点では国内初の事例に当たるとみられる。
 同病院は自宅などでの孤立出産を防ぐため、2019年12月に内密出産の受け入れを表明。国内では法制化されておらず、子どもの戸籍の取り扱いなど課題は多い。
 同病院によると、昨年11月中旬、西日本在住の妊娠9カ月の10代女性からメールで相談があった。その後、女性は病院に保護され、同12月に仮名で赤ちゃんを無事出産。新生児相談室長1人にのみ自身の個人情報を明かして退院した。
 赤ちゃんは病院が一時的に保護している。女性からは、健康保険証や卒業した高校の学生証など、身分の記された書類のコピーを預かった。子どもは一定の年齢になれば母親の情報を知ることができるが、女性は「赤ちゃんが自分のことを知りたいと言ったときはいつでも開けていい」と話しているという。
 蓮田健院長は「女性は1カ月以内に会いに来たいと言っている。赤ちゃんへの愛情が強く、翻意する可能性がある」と話した。 (C)時事通信社