医薬品医療機器総合機構(PMDA)は本日1月5日、分娩時に用いられる子宮収縮薬(陣痛促進薬、陣痛誘発薬)の使用に当たり、説明と同意および分娩監視装置による胎児心拍数モニタリングが十分でない事例などが報告されているとして、同薬の製造販売企業4社の「適正使用に関するお願い」を公式サイトに掲出した。日本医療機能評価機構が子宮収縮薬を使用した517事例を分析した結果を受けたもの。

用法・用量が遵守されず

 日本医療機能評価機構が公表した「第11回 産科医療補償制度 再発防止に関する報告書 ~産科医療の質の向上に向けて~」では、子宮収縮薬の添付文書における用法・用量や重要な基本的注意が遵守されていない事例を報告。子宮収縮薬使用事例517件(2009~14年の集計結果)の内訳(重複あり)は、オキシトシン(商品名アトニン-O注、オキシトシン注射液「F」)が442件、プロスタグランジン(PG)F2α(プロスタルモン・F注射液、ジノプロスト注射液「F」)が69件、PGE2(プロスタグランジンE2錠「科研」)が113件だった。

 子宮収縮薬の用法・用量の遵守状況を調べたところ、初期投与量、増加量、最大投与量のいずれかが『産婦人科診療ガイドライン-産科編』に記載された基準より多い事例や、子宮収縮薬投与中に必要とされる分娩監視装置を用いた子宮収縮と胎児心拍数の連続的モニターが不十分な事例が見られた。

 2014年時点で初期投与量、増加量、最大投与量のいずれかが基準範囲より多かった事例を薬剤別に見ると、オキシトシン使用例が40.0%、PGF2α使用例が12.5%、PGE2使用例が5.6%だった。また、分娩監視装置による胎児心拍数聴取方法が連続的でなかった事例は、オキシトシン使用例が24.0%、PGF2α使用例が12.5%、PGE2使用例が88.9%だった。

9割超で同意取得も、文書では約6割にとどまる

 一方、子宮収縮薬の使用について同意取得の割合は増加傾向にある。2014年時点では93.2%に説明と同意取得が行われており、不明は6.8%だった。ただし、文書で同意を取得した事例は57.6%にとどまった。

 これらの実態を踏まえ、子宮収縮薬の添付文書の「警告」および「重要な基本的注意」に従い、①子宮収縮薬を用いた分娩誘発、微弱陣痛の治療の必要性および危険性を患者に十分説明し、同意を得てから使用する、②子宮収縮薬投与中は、トイレ歩行時など医師が必要と認めた場合に一時的に分娩監視装置を外すことを除き、分娩監視装置を用いて連続的にモニタリングを実施し、異常が認められた場合には適切な処置を行うーことを徹底するよう注意喚起をした。

(小沼紀子)