抗生物質(抗菌薬)のメチシリンが効かないMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、1960年ごろにメチシリンが使われるようになって初めて出現したのではなく、以前から野生動物に存在した可能性が高いことが分かった。デンマーク国立血清研究所や英ケンブリッジ大などの国際研究チームが、欧州北西部やニュージーランドに生息するハリネズミからMRSAを検出し、5日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
 このハリネズミのMRSAは院内感染が問題になっているMRSAとは別のタイプ。ハリネズミの皮膚には抗生物質を生み出すカビの一種が存在しており、黄色ブドウ球菌が対抗して耐性を獲得したとみられる。ニュージーランドにはもともとハリネズミが生息せず、19世紀後半に英国から持ち込まれて繁殖したため、その前から耐性を獲得していた可能性が高いという。
 最初の抗生物質であるペニシリンもカビから発見され、1940年代に量産されて使われたが、耐性菌が出現したためメチシリンが開発された経緯がある。抗生物質は医療だけでなく畜産でも使われており、乱用すると耐性菌の勢力が拡大すると懸念されている。 (C)時事通信社