STAMPEDEはホルモン療法を未実施で高リスクの局所進行性前立腺がんおよび転移性前立腺がん患者を対象に、アンドロゲン除去療法(ADT)への併用療法を検証するマルチアームマルチステージのランダム化比較試験。英・University College LondonのGerhardt Attardらは同試験の新規解析結果をLancet2021年12月23日オンライン版)に報告。ADTへの第二世代抗アンドロゲン薬アビラテロン上乗せは、高リスクの局所進行性前立腺がんの標準療法となる可能性が示唆された。

標準治療へのアビラテロン、アビラテロン+エンザルタミドの上乗せ効果を検証

 今回の検討は英国およびスイスの113施設で実施。対象は、全身状態(PS)0〜2の高リスク局所進行性前立腺がん〔リンパ節転移陽性またはリンパ節転移陰性で①T3/T4、②前立腺特異抗原(PSA)値 40ng/mL以上、③Gleasonスコア8〜10―のうち2つ以上を満たす〕患者、または根治的前立腺全摘除術/放射線療法後に再発し、①PSA値4ng/mL以上でPSA倍加時間が6カ月未満、②PSA値20ng/mL以上、③リンパ節転移陽性―のいずれかを満たす局所進行性前立腺がん患者。2011年11月15日〜16年3月31日に1,974例をランダムに割り付けた。

 当初は、ADT(手術、薬物療法)のみを行う標準治療群(455例)とADTにアビラテロン1,000mg/日+プレドニゾロン5mg/日(AAP)を併用するAAP上乗せ群(459例)に1:1でランダムに割り付け、その後、標準治療群群(533例)とADT+AAPにエンザルタミド(ENZ)160mg/日を併用するAAP+ENZ上乗せ群(527例)に1:1でランダムに割り付けた。

 局所放射線療法はリンパ節転移陰性例では必須、リンパ節転移陽性例では推奨とした。標準治療は3年間、AAP上乗せとAAP+ENZ上乗せ(AAP±ENZ上乗せ)は2年間投与を実施し、局所放射線療法を実施せず進行を認めない症例は治療を継続した。

 年齢中央値は68歳〔四分位範囲(IQR)63〜73歳〕でPSA中央値は34ng/mL(同14.7〜47ng/mL)、1,974例中774例(39%)がリンパ節転移陽性で、1,684例(85%)に放射線治療が予定された。

 主要評価項目は無増悪生存(MFS)で、副次評価項目は全生存(OS)、前立腺がん特異的生存、生化学的無再発生存、無増悪生存(PFS)、毒性、有害事象とした。

エンザルタミドの上乗せによるMFS延長は認められず

 追跡期間中央値は72カ月(IQR 60〜84カ月)で、6年MFSは標準治療群の69%(95%CI 66〜72%)に対してAAP±ENZ上乗せ群では82%(同79〜85%)と有意な改善が認められた(HR 0.53、95%CI 0.44〜0.64、P=0.0001)。AAP上乗せ群とAAP+ENZ上乗せ群に差は認められなかった〔交互作用のハザード比(HR)1.02(95%CI 0.70〜1.50、P=0.908〕。

 服地評価項目のOS(HR 0.60、95%CI 0.48〜0.73)、前立腺がん特異的生存(同0.49、0.37〜0.65)、生化学的無再発生存(同0.39、0.33〜0.47)、PFS(同0.44、0.36〜0.54)はいずれも標準治療群と比べてAAP±ENZ上乗せ群で有意な延長が認められた(全てP<0.0001)。

 割り付け後24カ月に認められたグレード3以上の有害事象は、AAP上乗せ群が対照の標準療法群は29%、AAP+ENZ上乗せ群が対照の標準療法群は32%、AAP上乗せ群が37%、AAP+ENZ上乗せ群が58%だった。

 AAP±ENZ上乗せ群で頻度の高い有害事象は高血圧(AAP上乗せ群5%、AAP+ENZ上乗せ群14%)、ALT上昇(それぞれ6%、13%)で、死亡は7例認められた(AAP上乗せ群:大腸がん、肺出血、呼吸器疾患各1例、AAP+ENZ上乗せ群:敗血症性ショック、突然死各2例)。

 なお、今回の結果の速報は昨年(2021年)に開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2021)でも報告されている(関連記事「アビラテロン上乗せで局所前立腺がんのMFS延長」)。

(安部重範)

地域医療機構推進機構(JCHO)東京新宿メディカルセンター
副院長・泌尿器科部長 赤倉功一郎氏のコメント

 STAMPEDEとして行なわれたランダム化比較試験の報告です。転移のない高リスク前立腺がんを対象に、ADT vs. ADT+APPおよびADT vs. ADT+APP+ENZを検討した解析結果が報告されました。

 PSA中央値は34ng/mLと高く、リンパ節転移例も39%含まれており、高リスクの症例群と思われます。85%に放射線治療が行われました。主要評価項目であるMFSはAAP±ENZ上乗せ群が有意に優れた成績でしたが、ENZの追加による大きな効果は示されませんでした。

 高リスクの転移陰性前立腺がんにおいては、ホルモン療法併用放射線療法が標準治療と考えられます。その際のホルモン療法として、従来はADTが行われていましたが、今後はAAPを加えることを検討すべきかもしれません。その場合に課題となるのは費用と有害事象であると推測されます。