【パリ時事】フランスの議会で、新型コロナウイルスワクチン接種を実質義務化する法案の審議が遅れている。野党はマクロン大統領が4日、仏紙パリジャンのインタビュー記事で、ワクチン未接種者を「むかつかせてやる」と下品な言葉で非難したことに猛反発し、審議を一時中断。4月に行われる大統領選の野党候補者らは格好の材料とみて、攻勢を強めている。
 仏政府は昨年12月、飲食店や公共施設などを利用する際に提示が義務付けられている「衛生パス」について、取得条件から陰性証明を除外し、ワクチン接種完了を必須とするワクチンの実質義務化を閣議決定した。国民議会(下院)が今月3日から法案審議を行い、政府は15日の施行を目指している。
 マクロン氏はインタビューで、ワクチン未接種者を減らすために「彼らを徹底的にむかつかせてやりたい」と主張。ワクチン接種に反対する人々については「無責任で、もはや市民ではない」と突き放した。
 AFP通信によれば4日夜、野党はマクロン氏の発言を問題視し、下院での審議を一時中断。5日には、上院での審議開始が当初予定の6日から来週に先延ばしされた。法律の施行が遅れれば、新型コロナ対策への影響は避けられない。
 大統領選に出馬を表明している極右政党「国民連合(RN)」のルペン氏は、「国を分断しようとしている」とマクロン氏を非難。共和党のペクレス候補も「侮辱は正しい解決策ではない」と批判を強めている。
 与党内でも「マクロン氏の発言は有意義ではない」と懸念の声が上がる一方、一部の有識者は「計算済みだ」と分析する。世論調査会社IFOP幹部は5日のルモンド紙(電子版)に対し、マクロン氏が大統領選の野党候補者に自らを攻撃させることで「彼らに反ワクチン派という印象を与えようとしている」と指摘した。 (C)時事通信社