横浜市立大学微生物学教授の梁明秀氏らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染者を対象に、感染6カ月後、12カ月後の血清を解析。その結果、感染6カ月後には無症状・軽症例の15~31%で変異株に対する中和抗体が消失していた一方、重症例では感染12カ月後も維持されていたと、Open Forum Infect Dis2021年12月10日オンライン版)に発表した。

中和抗体価は中等症例、重症例で高値

 梁氏らは、2020年1~8月に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断された日本国内の497例(年齢中央値49.0±13.2歳、男性50.7%、女性49.3%)を対象に、SARS-CoV-2に対する免疫の長期的な持続性を検討。感染6カ月後、12カ月後に血液検査を実施し、血清中のSARS-CoV-2に対する抗体価〔ヌクレオカプシド蛋白質(NP-IgG)、スパイク蛋白質(SP-IgG)〕および中和抗体価(NT50)を定量的に測定した。発症時の重症度は、無症状・軽症が78.7%(391例)、中等症が16.1%(80例)、重症が5.2%(26例)だった。

 検討の結果、NP-IgG抗体価の中央値は、感染6カ月後の2.9から12カ月後には1.1へと有意に減弱した。SP-IgG抗体価の中央値も13.0から9.4に有意に減弱したものの、NP-IgG抗体価ほど大きな変化は見られなかった。

 またNT50は297から222へと減弱傾向にあるものの、感染12カ月後も維持されていた。いずれの測定時期においても、無症状・軽症例に比べ、中等症例、重症例でNT50が高値だった。年代別に見ると、50歳代以上では中等症例、重症例が多く、12カ月後のNT50も高く維持されていた。

新たな変異株の検証へ意欲

 次に、独自の手法(hiVNT)を用いて変異株(アルファ株、ベータ株、ガンマ株、デルタ株、カッパ株)に対する中和抗体の保有率を調べた。その結果、感染6カ月後には無症状・軽症例の15~31%で変異株に対する中和抗体が消失していた。一方、重症例では、感染12カ月後でも全ての変異株に対する中和抗体が維持されていた。

 続いて、変異株に対するSP-IgG抗体価を測定。重症例では感染12カ月後も変異株に対するSP-IgG抗体価が高く維持されており、hiVNTの結果が裏付けられた。さらに、分離された変異株ウイルスを用いた検討でも、12カ月後のNT50は高く維持されていた。

 梁氏らは「今回は、液性免疫の持続性の観点から評価を行った。今後は、細胞性免疫の持続性についても検討する予定だ」とコメント。さらに「新たな変異株に対する抗体保有状況に関しても、速やかに検証したい」と展望している。

(比企野綾子)