【ロンドン時事】新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」がまん延する英国で、厳しい規制を敷かず「ウイルスとの共存」を目指す政府方針の是非をめぐり、議論が起きている。経済重視派が賛同する一方、感染者急増が続けば医療崩壊につながりかねず、「(感染阻止へ)さらなる行動」を求める声も強い。
 英国では先月末以降、1日当たりの新規感染者が15万~20万人前後の高水準で推移。一方、死者や重症者は1年前のピーク時に比べ抑えられている。ジョンソン首相は4日、「(現行の態勢で)オミクロンの波を乗り切れる」として、人口の大半を占めるイングランドで当面、新たな行動規制を導入しない方針を表明した。
 規制はマスク着用など限定的なものにとどまり、年明けのロックダウン(都市封鎖)や学校閉鎖を心配していた国民は、ひとまず胸をなで下ろした。規制反対派の代表格スティーブ・ベーカー議員(与党保守党)は、ツイッターに「さらなる規制の要求に抵抗した首相を称賛する。正しい決断だった」と投稿した。
 一方、医療現場では感染拡大に伴う医師やスタッフの不足が深刻化しており、6日までに少なくとも24医療機関が「緊急事態」に陥ったと宣言した。人員不足が顕著なロンドンの病院は、対応のため医療部隊を含む兵士200人が派遣される事態に。英紙によると、国営医療制度「国民保健サービス(NHS)」幹部は「(現場は)これまでになく追い込まれている」と危機感を表明。元閣僚の一人も「(規制強化されないまま)NHSが崩壊すれば、首相は重大な困難に直面する」と警告した。 (C)時事通信社