【ベルリン時事】世界保健機関(WHO)は、約1カ月後に迫った北京冬季五輪での新型コロナウイルス感染予防策を前向きに評価し、予定通りの開催は問題ないという立場だ。その一方、米英などで「外交ボイコット」の動きが広がる中、2021年の東京五輪時に訪日したテドロス事務局長の訪中は明言していない。感染拡大初期に集中した「中国寄り」との批判をかわし、政治問題化を避ける意向とみられる。
 WHOで緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は6日、ジュネーブで行った記者会見で、中国が感染予防策をまとめた「プレーブック」を選手向けやスタッフ向けなど複数用意したことを高く評価。「非常に強力な措置を取っており、現時点では(大会開催によって)感染リスクが増大するとは認識していない」と断言した。
 一方、同じ記者会見で北京五輪のため訪中するかというテドロス氏への質問には、本人ではなく報道官が「外遊予定については議論しない」と回答を拒んだ。テドロス氏は21年7月、東京五輪開幕に合わせて訪日し、世界の人々の連帯という「五輪精神」がパンデミック(世界的大流行)克服に貢献すると強調していた。
 20年の感染拡大初期、テドロス氏は中国への賛辞を繰り返し「過剰な配慮」だと批判を浴びた。このため21年には、ウイルスの起源を調べるWHO調査団への協力を拒んだ中国の対応に「失望した」と述べるなど、バランスを取るような方向に修正。北京五輪をめぐる慎重な態度も、国際社会の対中批判を意識していることをうかがわせる。 (C)時事通信社