大規模な在日米軍基地を抱える沖縄、山口両県で新型コロナウイルス感染の拡大が止まらない。米側の対策の甘さが引き金になったとみられ、山口に隣接する広島県でも陽性者が続出している。日米地位協定により、基地内は日本の水際措置の「空白地帯」となっているのが現状。改定論が出ているが、日本政府は及び腰だ。
 在日米軍での感染拡大は沖縄から始まった。昨年12月中旬に海兵隊キャンプ・ハンセン(金武町など)で本国から到着した部隊を中心に感染者が多数発生し、日本人従業員の感染も確認された。
 岩国基地(山口県岩国市)でもクラスター(集団感染)が起き、生活圏がかぶる広島に染み出したもよう。空軍横田基地(東京都福生市など)や海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)などでも陽性者がまとまった数で出ている。
 今月7日の感染者数は沖縄で1414人、山口で180人に達し、広島は429人。いずれも過去最多の水準だ。日本政府は在日米軍が「震源地」とは公に認めていないが、人口10万人当たりの感染者数の上位はこの3県が占める。
 日米地位協定は米軍関係者の出入国について「外国人の登録および管理に関する日本国の法令の適用から除外される」と明記しており、これが日本側による検疫を免除される根拠となっている。米軍機や艦船で米軍基地内に直接入る場合、検査は米側に委ねられる。
 米軍は日本の水際対策と「整合的な措置」を取ると説明していたが、昨年9月から来日に先立つ出国前検査が免除されていたことが判明した。こうした「穴」が変異株「オミクロン株」の国内流入を加速させたようだ。
 ◇パンドラの箱
 米側の外出制限措置は、どこまで徹底されるか不透明。沖縄県の玉城デニー知事は7日のBSフジ番組で「検疫体制を地位協定に書き加える(べきだ)」と訴えた。同様の主張は野党に広がる。
 ただ、地位協定は検疫に限らず米軍の日本駐留に関する幅広い分野に及ぶため、日本政府は一貫して見直しに否定的だ。外務省関係者は「『パンドラの箱』を開けることになる。改定を提案すれば米側からもいろいろ要求される」と漏らす。7日の記者会見でこの点を問われた林芳正外相は「(改定は)考えていない」と言い切った。 (C)時事通信社