新型コロナウイルスの感染急増が、16日に告示が迫る沖縄県名護市長選を直撃しそうだ。与野党とも秋の知事選を天王山に重要な戦いが続く沖縄の「選挙イヤー」初戦として注力する方針だったが、党幹部ら応援弁士の投入を見送る。政権側からは、同市辺野古への米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設に影響するとの懸念も出ている。
 市長選は与党が推薦する現職の渡具知武豊氏(60)と、立憲民主、共産両党や玉城デニー知事が支援する新人の市議、岸本洋平氏(49)による一騎打ちの見通しだ。投開票は23日。岸本氏が移設反対を唱えるのに対し、渡具知氏は賛否を明確にせず争点化を避ける戦略を取る。
 自民党は情勢を「激戦」と見ており、茂木敏充幹事長が昨年11月に続き、今月12日の総決起大会に合わせた現地入りを計画。沖縄担当相経験者で知名度の高い河野太郎広報本部長も9日に市内で街頭演説を予定していたが、いずれも感染再拡大を受けて取りやめた。
 与党は近年、沖縄の重要選挙に苦戦してきたが、昨秋の衆院選では名護市を含む沖縄3区の議席を奪還。市長選を制して夏の参院選沖縄選挙区や知事選へ弾みをつけ、移設を有利に運びたい考えだ。
 だが、沖縄での感染急増は米軍の緩い対策が引き金になったとされ、玉城氏は6日、記者団に「大きな原因は米軍基地」と断言した。政府関係者は「基地問題への関心がより高まる」と指摘。自民党幹部は「『米軍は何をやっているんだ』と誰でも思う。移設と結び付けられると市長選は厳しくなる」と漏らした。
 一方、立民は小川淳也政調会長が先月の県連臨時大会に出席し、共産党の小池晃書記局長は今月5日に陣営を訪ねて岸本氏を激励したが、ともに今後の応援は見送る方針。立民の泉健太代表は7日の記者会見で、日米地位協定見直しの必要性を強調した上で、「県民の命と健康は守らなければならないと訴えていく」と語った。 (C)時事通信社