体外受精で得られた受精卵の染色体の数を全て調べ、問題のないものを子宮に戻す「着床前検査」について、日本産科婦人科学会(日産婦)は9日、不妊治療の一環として4月に開始することを正式に決めた。同日開かれた臨時総会で見解(内規)の改定が承認された。基準を満たした認定施設約100カ所で実施されるが、対象は流産を2回以上繰り返すなど三つの場合に限定する。
 国は4月から始まる不妊治療への公的医療保険適用で、体外受精や人工授精などを新たに対象にする方針を決めている。着床前検査について中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は関連学会の議論を踏まえ検討するとしている。
 臨時総会後に記者会見した木村正理事長は「保険適用になるかは中医協の議論を待ちたい。まずは(保険対象診療と併用できる)先進医療としてできないか検討を急いでいる」と述べた。
 着床前検査では、流産や不妊につながる染色体異常がない受精卵を選んで戻すため「命の選別」になるとの批判もあり、障害者団体などは慎重な運用を求めている。流産率は低下するが全体の出産率が高まるかは明確でなく、日産婦は臨床研究に限り実施を認めてきた。
 日産婦は不妊治療としての対象を、流産や死産を2回以上経験▽体外受精が2回以上失敗▽夫か妻に染色体の構造異常がある―のいずれかに該当する夫婦に限定した。年齢制限は設けない。検査の実施施設は、遺伝カウンセリングの専門的な知識を持つ医師がいることなどが条件となる。
 臨時総会では、重い遺伝病が子に伝わるのを防ぐために受精卵を選ぶ「着床前診断」の対象について、成人前に死亡する恐れがある病気などから成人後に発症する病気に広げることも正式に決まった。4月に運用が始まる見通し。 (C)時事通信社