「新時代リアリズム外交」を掲げる岸田文雄首相がスタートから辛抱を余儀なくされている。17日の通常国会召集前に模索した米国やオーストラリアへの訪問は、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染拡大のあおりで断念。夏の参院選に向け、アピール度が強い対面外交を重ねて「成果」を挙げる思惑だが予断を許さない状況だ。
 「対面での首脳外交を進めていきたい」。首相は4日の年頭記者会見でこう決意を示したものの、国会召集前の訪米や6~8日で調整していた豪州訪問見送りを併せて表明。モリソン首相との日豪首脳会談はオンラインに切り替えた。
 今年最大の政治決戦となる参院選を控え、対面での首脳外交は華やかさもあり、政権浮揚効果が期待できる見せ場となり得る。首相は年始早々、出はなをくじかれた格好で、外務省幹部は「当面はオンライン活用を考えないといけない」と残念がった。
 政権発足以降、首相の外国訪問は英国での国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に出席した昨年11月の一度だけ。バイデン米大統領とは現地で短時間会話を交わした。首相は引き続き訪米を最優先課題として模索する方針だが、米国での感染者急増もあり、具体的な日程調整には入れていない。
 政府内には3月の3連休を活用する意見もあるが、同月下旬とみられる2022年度予算案成立までは国会に縛られる可能性が高い。関係者は「コロナが落ち着いたら対面外交を再開する国もあるが、その時に日本の状況がどうなっているか」と不安そうに語る。
 首相は、日本開催案もある米豪印との4カ国(クアッド)首脳会議、4~5月の大型連休を利用した外遊、6月のドイツでの先進7カ国首脳会議(G7サミット)などを通じ、外交成果を挙げたい考え。モリソン氏との会談でも「近い将来対面で会えることを楽しみにしている」と伝えたが、感染動向に気をもむ状況が続きそうだ。 (C)時事通信社