新型コロナウイルス流行に伴う国産酒の消費低迷を打開しようと、国の補助金を活用して新たな商品開発に取り組む動きが相次いでいる。輸出を見据え海外料理とのペアリング(組み合わせ)を重視した日本酒や、家飲み需要に応えるオーダーメードの酒などが近くお目見えする予定だ。
 総務省調査によると、1世帯(2人以上世帯)当たりの酒の平均消費支出は、2019年に家庭消費が4万1000円、飲食店消費が2万円だった。20年は家庭が4万6000円、飲食店が9000円と、家飲みは増えたが飲食店は半減した。
 そこで国税庁は酒蔵など向けに「フロンティア補助金」を創設。500万円を上限に、商品開発費や販路開拓費の半額を支給する。20、21年度の各補正予算に計14億円を盛り込んだ。
 司牡丹酒造(高知県佐川町)は、県工業技術センターが開発した酵母を使って日本酒造りに取り組んでいる。酵母はリンゴや梨のような香りが強く、竹村昭彦社長は「(フランス料理などの)フルーツを使った前菜に合う酒が造れる」と話す。
 さわやかな味わいのスパークリング日本酒にするため、補助金で専用の充填(じゅうてん)機などを購入。新商品は2月ごろ完成する見込みだ。
 「コロナ禍での機械購入には二の足を踏む。補助はありがたい」と竹村社長。「海外のレストランで高知のフルーツを前菜に使う時に、この酒で乾杯してもらえたら」と意気込む。
 「コロナで宴会や冠婚葬祭の大口需要がごっそり減った」と語るのは、石井酒造(埼玉県幸手市)の担当者。少量多品種化を新たな柱にしようと、米の品種や精米レベルを選べるオーダーメード日本酒の製造に乗り出した。
 小ロットに対応できる酒造機械を補助金で購入。生産体制を整え、春ごろに受注を始める。日本酒ファンの個人客や、オリジナルの酒を提供したい飲食店がターゲットだ。
 地元の植物を原料にしたジンを製造・販売する積丹スピリット(北海道積丹町)は補助金で蒸留用タンクを買い足し、好きな植物を組み合わせるオーダーメードのジン作りを21年夏ごろから始めた。団体や企業の受注からスタートし、今後は個人客が自由にブレンドを楽しむイベントも開く。担当者は「地域の植物の香りをどう入れ込むかが、差別化の要素になる」と力を込めた。 (C)時事通信社