大腸内視鏡検査で病変が検出されなかった後に発生した大腸がんを内視鏡後大腸がん(PCCRC)という。デンマーク・Aarhus UniversityのFrederikke S. Troelsen氏らは、同国の全国患者登録データを用いPCCRCの発生リスクを検討。その結果、2型糖尿病でない者と比べ、2型糖尿病患者では初回検査後のPCCRC発生リスクが44%高かったとBMJ Open Gastro2021; 8: e000786)に発表した。

糖尿病患者では腸管洗浄が不十分の恐れ

 PCCRCは大腸がん全体の最大8%を占める。大多数は初回の大腸内視鏡検査で見逃されたか、切除が不十分だった大腸病変から発生したものであると考えられている。Troelsen氏らによると、2型糖尿病患者では、消化管運動機能障害により大腸内視鏡検査前の腸管洗浄の質が低下する可能性があるため、前がん病変の見逃しやPCCRCのリスクが高くなる可能性があるという。

 今回の解析対象は、デンマークで1995~2012年に大腸内視鏡検査を受けた2型糖尿病患者2万9,031例および非2型糖尿病者33万3,232例。PCCRCの定義は、大腸がんが検出されなかった大腸内視鏡検査実施の6~36カ月後に診断された大腸がんとした。

 評価項目1はPCCRCの発生リスクとし、絶対リスクとして死亡および結腸全摘術を競合リスクとし初回の大腸内視鏡検査6~36カ月後におけるPCCRCの累積発生率を算出。また、Cox比例ハザード回帰モデルを用い、非2型糖尿病者に対する2型糖尿病患者のPCCRC発生のハザード比(HR)を算出した。評価項目2は大腸がん全体に占めるPCCRCの割合とし、PCCRCの3年発生率を算出した。

絶対リスクは糖尿病の有無によらず1%未満

 初回の大腸内視鏡検査後6~36カ月におけるPCCRCの発生は非2型糖尿病者で1,099例、2型糖尿病患者で160例だった。解析の結果、同期間におけるPCCRCの累積発生率は、非2型糖尿病者の0.36%(95%CI 0.34~0.38%)に比べて2型糖尿病患者では0.64%(同0.55~0.74%)と高かった。

 性、検査時年齢、検査実施年、併存疾患を調整後の非糖尿病者に対する2型糖尿病患者におけるPCCRC発生の調整後HRは、初回の大腸内視鏡検査後で1.44(95%CI 1.21~1.72)、2回目(初回検査後6カ月以降)の検査後で1.18(同0.75~1.85)だった。PCCRCの3年発生率は2型糖尿病患者で7.9%、非2型糖尿病者で7.4%だった。

 以上を踏まえ、Troelsen氏らは「2型糖尿病患者は2型糖尿病でない者に比べ、PCCRCのリスクが高かった。ただし、検査の6~36カ月後におけるPCCRCの累積発生率は、2型糖尿病の有無にかかわらず1%未満だった」と結論。さらに、初回に比べて2回目以降の大腸内視鏡検査でPCCRCのHRが低い結果が得られた点については、「浸潤がんに進行するリスクがある腺腫の見逃し例や切除不十分例は、反復検査により減少するという仮説を支持するものだ」と考察している。

(太田敦子)

  • 日本消化器内視鏡学会の『大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン』では、PCCRCの要因として、①適切な大腸内視鏡検査での見逃し病変、②不適切な大腸内視鏡検査での見逃し病変、③検出されたが切除されなかった病変、④不完全切除病変、 ⑤新規発生がん(大腸内視鏡検査から4年以上経過していることが条件)―を挙げている