岸田文雄首相は就任以来、記者団の前で立ち止まって短時間の質疑に応じる「ぶら下がり取材」の場を、積極的に設けている。その回数は政権発足100日の11日までに56回と、2日に1回を超えるペース。セールスポイントの「聞く力」や、新型コロナウイルスの「先手」対応を、国民にアピールする絶好の機会と捉えているようだ。
 「対策の重点をさらに国内に移していく」。首相は11日、新型コロナの変異株「オミクロン株」の感染急拡大を受け、記者団にこう表明。約16分にわたってワクチン接種や医療提供体制など新たな対策について熱弁を振るった。
 昨年12月には年末年始の感染予防策に関しパネルを使って説明するなど、メッセージの打ち出し方にも工夫を凝らす。
 菅義偉前首相が政権発足からの100日間で応じたぶら下がり取材は半分強の32回。発言が終わると質問に答えず立ち去ることが多かった。これと比べ、自ら「他にないかな」「あと1問ね」などと質問をさばくこともある首相の対応は異色だ。
 もっとも、首相は新型コロナ対策をめぐり、4日の記者会見で網羅的に説明したばかり。11日はワクチン3回目接種の前倒し対象を一般に拡大する方針を発表したが、詳細なスケジュールなどは示されず、内容の「生煮え」感は否めなかった。
 18歳以下への10万円相当の給付などでは方針が二転三転した経緯もある。ぶら下がり取材の積極活用は、発言のぶれで足をすくわれるリスクもはらむ。 (C)時事通信社