日本産科婦人科学会は1月12日、妊婦6,576人を対象に実施した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン接種に関するアンケート結果を発表。ワクチン接種後の副反応については既報、または同世代の非妊娠女性と同等であり、出血、胎動減少、浮腫、血圧上昇、破水のような重大な産科的症状が見られたのは、1回目および2回目接種後とも1%未満だった(関連記事「妊婦にコロナワクチン、早産などと関連なし」「コロナワクチン未接種妊婦の9割が接種希望」)。

妊娠後期では重症化リスクが高い

 妊婦が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症した場合、母体の重症化だけでなく胎児への影響も懸念される。これまでの報告で、COVID-19は子宮内感染をほとんど起こさず、胎児への催奇形性はないことが明らかとなってきたものの、妊娠後期では母体の重症化リスクが高まるとされている(CDC Science Brief : Evidence for conditions that increase risk of severe illness 2021年10月14日更新)。また、母体の治療のためにやむをえず早産となることも少なくない。

 ワクチン接種はSARS-CoV-2への感染予防策として有効な手段であるが、これまでに使用実績のない新しいワクチンを用いるため、妊婦への接種に対しては副反応をはじめとする安全性について各方面から懸念が示されていた。

 その後、ワクチン接種先行国から妊婦における副反応の増強や妊娠合併症の増加、胎児・新生児への影響は見られなかったという報告が相次ぎ、米疾病対策センター(CDC)が妊婦に対するSARS-CoV-2ワクチンの積極的な接種を推奨。日本においても、妊婦へのワクチン接種が積極的に勧められた。

 そこで、厚⽣労働⾏政推進調査事業費補助⾦「新型コロナウイルス感染症流⾏下における妊婦に対する適切な⽀援提供体制構築のための研究(⼭⽥班)」および⽇本産科婦⼈科学会周産期委員会 周産期における感染に関する⼩委員会は、日本での妊婦のワクチン接種状況や接種後の副反応、産科的症状の実態を調査するためウェブアンケートを実施した。

20歳未満に対する20歳以上の接種率は4~5倍

 アンケートは2021年10月5日~11月22日に実施され、妊婦6,576人が回答。ワクチン1回以上接種済みが82.1%(5,397人)、2回接種済みが73.6%(4,840人)、未接種が17.9%(1,179人)だった。1回および2回接種済みの妊婦とも約73%がファイザー製、約20%がモデルナ製を接種していた(5~7%はどちらか不明)。

 妊娠初期(15週まで)が22.2%、妊娠中期(16~27週)が33.2%、妊娠後期(28週以降)が44.7%で、42人が妊娠中にCOVID-19に罹患した。

 ワクチン接種に関連した因子について多変量解析を実施した結果、20歳未満の妊婦に対する20~29歳のオッズ比(OR)は4.05(95%CI 1.55~10.63、P=0.004)、30~39歳は5.19(同1.98~13.58、P<0.001)、40歳以上は5.25(同1.63~14.23、P=0.001)と年齢が上昇するほど接種率が高かった。

 職業では、専業主婦と比較して公務員と医療関係者で接種率が高く〔それぞれのORは1.42(95%CI 1.04~1.94、P=0.026)、1.58(同1.23~2.03、P<0.001)〕、自営業者で低かった〔OR 0.66(同0.46~0.93、P=0.019)〕。

 また、妊娠初期と比較して妊娠中期・後期で接種率が高かった〔それぞれのORは1.65(95%CI 1.38~1.97、P<0.001)、1.69(同0.42~2.01、P<0.001)〕。

産科的症状発現に対するワクチンの影響は不明

 ワクチン接種後の副反応は、接種部位の疼痛が1回目接種後に96.84%、2回目接種後に92.61%と高頻度に見られ、発熱、倦怠感、疲労感などの全身的な症状または頭痛、消化器症状(嘔気・嘔吐下痢、腹痛)、関節痛など接種部位以外の副反応が1回目よりも2回目接種後で多く見られた()。

表. ワクチン接種後の副反応と産科的症状

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妊婦の新型コロナウイルスワクチン接種に関するWEBアンケート調査)

 SARS-CoV-2ワクチンは、男性よりも女性で副反応が出やすい。今回報告された副反応は、ワクチン接種先行国の妊婦における報告や、同世代の非妊娠女性における報告と同等だった(N Engl J Med 2021; 384: 2273-2282)。

 産科的症状としては、腹緊(腹部の張り)が1回目接種後に1.65%(89例)、2回目接種後に2.98%(144例)に見られた。2回目接種後に子宮の痛みが1.06%に見られた。一方で、出⾎、胎動減少、浮腫、⾎圧上昇、破⽔のような重⼤な症状は1回⽬接種後、2回⽬接種後ともに1%未満だった。

 こうした症状はワクチン接種を受けていない妊婦でも一定の頻度で見られるため、今回の報告では「ワクチン接種が症状発現にどの程度影響したかは不明」とし、「ワクチンを接種した妊婦は定期的に妊婦健診を受け、接種後になんらかの症状を認めた場合はすぐに産婦⼈科の主治医に連絡し、受診できるようにする必要がある」と指摘している。

(渕本 稔)