米・Yale UniversityのHeather S. Lipkind氏らは、同国の妊婦4万例超を対象にした後ろ向きコホート研究で妊婦への新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン接種の安全性を検証。その結果、同ワクチン接種による早産または在胎不当過小(SGA)のリスク上昇は認められなかったと米疾病対策センター(CDC)のMMWR Morb Mortal Wkly Rep2022; 71: 26-30)に発表した。CDCは妊娠中または最近妊娠していた女性(授乳中の女性を含む)、現在妊娠を考えているか将来妊娠の可能性がある女性に対し同ワクチンの接種を推奨している(関連記事「コロナワクチン、重大な産科的症状は1%未満」)。

21.8%が妊娠中に少なくとも1回接種

 妊娠中にCOVID-19を発症すると母体の重症化や児の有害転帰のリスクが高まるため、妊婦に対してもワクチン接種が推奨される。しかし、安全性に対する懸念が障壁となり、妊婦のワクチン接種率は低い。

 今回の解析対象は、米国のワクチン安全性モニタリングシステムVaccine Safety Datalink(VSD)に参加する8施設において、2020年5月17日~10月24日に単胎妊娠し妊娠40週での出産予定日が2021年2月21日~7月31日だった16~49歳の女性のうち、在胎週数のデータが得られ生児出産に至った4万6,079例。主要評価項目は早産(妊娠37週未満)およびSGA(出生体重が在胎期間に対して10パーセンタイル未満)とした。

 全体で1万64例(21.8%)が妊娠中にSARS-CoV-2ワクチンを少なくとも1回接種しており、そのほぼ全例(98.3%)が第2トリメスター(36.5%)または第3トリメスター(61.8%)で1回目を接種していた。ワクチンの種類別では、大半がメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンを接種していた(ファイザー製54.4%、モデルナ製41.4%、ジョンソン・エンド・ジョンソン製4.2%)。

早産は未接種群7.0%に対し接種群4.9%、SGAは両群8.2%

 早産の発生率(生児出産100例当たり)はワクチン未接種群の7.0例に対し接種群では4.9例と少なく、妊娠中のワクチン接種による早産の有意なリスク上昇は認められなかった(調整後ハザード比0.91、95%CI 0.82~1.01、P=0.06)。同様に、SGAの発生率は両群とも生児出産100例当たり8.2例で、妊娠中のワクチン接種によるSGAの有意なリスク上昇は認められなかった(同0.95、0.87~1.03、P=0.24)。

 さらに、mRNAワクチンの接種回数(1回または2回)、1回目の接種時期(第2または第3トリメスター)で層別化した解析においても、未接種群に対して接種群でこれらのリスク上昇は認められなかった。

 以上を踏まえ、Lipkind氏らは「これらのデータは、妊娠中におけるSARS-CoV-2ワクチン接種の安全性を裏付けるエビデンスを補強するものである」と結論。ただし、「第1トリメスターにおけるワクチン接種のリスクについては、症例数が172例(1.7%)と少なかったためaHRを算出できなかった。今後の研究で検討すべきである」と付言している。

(太田敦子)