【ワシントン時事】バイデン米政権が新型コロナウイルス対応で壁にぶつかり、苦慮している。変異株「オミクロン株」の拡大が止まらない中、「切り札」だった企業へのワクチン接種義務化が連邦最高裁によって差し止められた。バイデン大統領は高機能マスクの無料配布を打ち出すなど拡大阻止に躍起だが、「国民の3分の1がマスクを着けない」(バイデン氏)という米国で、効果のほどは不透明だ。
 最高裁は13日、従業員100人以上の企業にワクチン接種を義務付ける措置について、「政府の権限を越える」として停止を命じた。義務化は違反企業に対し約1万4000ドル(約160万円)の制裁金を科す厳しい内容で、停止命令がなければ約8400万人の労働者への接種が実現するはずだった。
 米国で接種を終えた人は13日時点で人口の62.8%にとどまる。バイデン氏は声明で「最高裁が従業員の命を救う措置を妨げる選択をしたことに失望した」と表明。州や企業に対し、職員や従業員の接種推進を呼び掛けた。
 政権は現状への危機感を強めている。7日間平均で見た米国の1日当たりの感染者数は76万人を超え、入院患者の急増が医療機関を圧迫しているためだ。
 バイデン氏は13日、最高裁判断に先立って開いた会合で、マスク無料配布のほか、簡易検査キット5億個の追加調達といった対策を示し、取り組みをアピールしてみせた。疾病対策センター(CDC)は、一般的なマスクではオミクロン株の感染防止に不十分な可能性があるとして、防護力の高い「N95」マスクなどを推奨するか検討している。
 ただ、コロナ感染で入院患者や死者の多くを占めるのはワクチン未接種者。バイデン氏は「感染力の極めて強いオミクロン株の拡大を止めるために重要な手段だ」と国民にマスク着用を求めたが、根本的な感染拡大防止策になるとは言えず、対策の限界もうかがえる。 (C)時事通信社