心臓突然死は、運動や性行為などさまざまな状況で発生する可能性がある。英・St George's University of LondonのGherardo Finocchiaro氏らは、同大学心臓病理学センターにおける剖検例を検討した結果「心臓突然死の0.2%が性行為と関連していた」とJAMA Cardiol2022年1月12日オンライン版)に報告した。

平均38歳の約7,000例を剖検

 Finocchiaro氏らは、1994年1月1日~2020年8月31日に同大学心臓病理学センターに紹介された心臓突然死例を対象に、性的活動に関連する心臓突然死の割合とその特徴、死因を検討した。

 心臓突然死は、健康な状態から12時間以内に発生した死亡と定義。心臓以外の原因を除外するために、全例に対し毒物学的スクリーニングを含む詳細な剖検を行った。詳細な質問票を用いて検死官から臨床情報を得た。また全例が専門の心臓病理学者による心臓の肉眼的および組織学的評価を受けた。

 解析対象は6,847例。うち17例(0.2%)が性行為中または性行為後1時間以内に死亡した。死亡時の平均年齢は38歳。男性11例(65%)、女性6例(35%)。

 1例は僧帽弁逸脱症の既往があり、これが死因となった。1例は高血圧と診断され、死因は大動脈解離だった。2例に広範な心臓検査を施行したが、心疾患の特定には至らなかった。

突然不整脈死症候群と心筋症が主な死因

 9例は剖検時に心臓の構造が正常だったことから突然不整脈死症候群が示唆された。大動脈解離が2例に認められた。不整脈源性心筋症、肥大型心筋症虚血性心疾患、特発性心筋線維症、特発性左心室肥大(二次的原因および心筋障害がない場合、心臓重量と壁厚の増大によって定義された)、僧帽弁逸脱症が各1例だった。

 死因別に見ても、性行為中の心臓突然死の発生率は低かった〔心臓突然死症候群3,426例中9例(0.2%)、不整脈源性心筋症274例中2例(0.7%)、肥大型心筋症265 例中1例(0.3%)、大動脈解離97 例中2例(2%)、虚血性心疾患573 例中1例(0.1%)、特発性心筋線維症165 例中1例(0.6%)、特発性左心室肥大251 例中1例(0.3%)、僧帽弁逸脱症84例中1例(1%)〕。

 心筋症やチャネロパチーなどの心疾患を有する若年者(50歳未満)は、性行為に伴うカテコラミン急増のため、性行為中の突然死リスクを懸念するかもしれない。これまで心臓突然死は主に中年男性で報告されていたが、今回の検討では、過去の報告に比べて女性の割合が高かった。この違いは、今回の対象の平均年齢が38歳だったのに対し、過去の報告では冠動脈疾患の罹患率が高いとされる高齢男性が対象だったことが関連している可能性がある。今回、剖検所見で突然不整脈死症候群が最も多かったことから、まれに発生する性行為中の心臓突然死はチャネロパチーなどのprimary electrical diseasesに関連する可能性が示唆された。

 以上を踏まえ、Finocchiaro氏らは「剖検を行った心臓突然死例を包括的に解析した結果、心臓突然死の0.2%が性行為と関連していた。突然不整脈死症候群と心筋症が主な死因だった」と結論。「この知見は心疾患患者、特に50歳未満の若年患者において性的活動が比較的安全であるという安心感を与えたと考えている」と付言した。

(大江 円)