【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策正常化で、約8兆8000億ドル(約1000兆円)に膨れ上がった総資産の縮小が焦点に浮上している。資産規模の巨大化は、国債などを購入する「量的緩和策」の結果で、FRBは速やかな圧縮を視野に入れる。ただ、想定以上の金融引き締めになり、景気や市場に悪影響を与える事態も懸念される。
 FRBの総資産は2年弱で倍以上に急膨張した。新型コロナウイルス危機への対応で、事実上のゼロ金利政策を導入するとともに、国債などを大量に購入して金利を押し下げ、景気の下支えを進めたためだ。
 大胆な政策が功を奏し、米景気はコロナ禍から比較的短期間で回復。一方、経済再開に伴う需要急増に供給が追い付かず、昨年12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.0%の上昇と、約40年ぶりの高水準となった。FRBは記録的なインフレの抑制に向け、11月に開始した資産購入の減額を加速。金融引き締めの「地ならし」に力を入れている。
 市場では、FRBが今年3月15、16両日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、量的緩和の終了とほぼ同時期にゼロ金利解除を決めるとの観測が強まっている。
 巨額の資産を抱えたまま利上げすれば、引き締め効果は弱い可能性がある。FRBのウォラー理事はテレビのインタビューで「総資産を無視できない。景気情勢などを踏まえれば、これまでより大幅な縮小は可能だ」と主張した。
 パウエルFRB議長は今月11日の上院で、年内に総資産の縮小に着手する意向を示唆。「早期かつ速やかな縮小になる」と表明した。ただ、FRBが大量の資産を短期間に売却すれば、金利の上昇を招き、景気や市場に悪影響を与える恐れもある。パウエル氏らは慎重な判断を求められそうだ。 (C)時事通信社