新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」による感染急拡大が続く中、各自治体は特別措置法に基づく「まん延防止等重点措置」の適用を国に要請するタイミングで難しい決断を迫られている。東京都の小池百合子知事は「感染は止める、社会は止めない」と強調。ただ、知事の間からは「オミクロンの正体が分からない」との不安の声も漏れ、要請に向けた手探りが続く。
 オミクロン株の大きな特徴は、感染力の強さだ。今月9日から沖縄、山口両県とともに重点措置が適用された広島県の湯崎英彦知事は13日の会見で「過去の感染拡大とは全く比較にならない速度。想像を絶する速度となっている」と述べた。
 「病床使用率20%で重点措置、50%で緊急事態宣言の要請を検討」―。小池氏は13日、オミクロン株対応の新基準を公表した。これまでは3週間後の病床使用率を飲食店への営業時間短縮要請などの目安の一つとしてきたが、感染スピードを考慮し、対応の迅速化を図る。
 都は当初、「病床に比較的余裕がある」(幹部)とし、重点措置には慎重だった。しかし、今月1日に79人だった都内の新規感染者は日を追うごとに増え、13日には40倍に達した。このままでは医療従事者や警察官、消防隊員といった「エッセンシャルワーカー」が出勤できず、都市機能がストップする事態まで懸念され、かじを切った。
 一方、これまでのところ重症化するケースは多くない。都は過去の感染拡大期には、飲食店に時短営業や酒類の提供停止などを求めてきたが、オミクロン株の特性は分からないことが多い。小池氏は14日の会見で、重点措置が適用された場合の行動制限について「専門家の意見を聞き、国と連携しながら検討したい」と述べるにとどめた。
 熊本県の蒲島郁夫知事は12日、全国知事会のオンライン会議で、重点措置の要請を検討していることを明らかにした。14日の病床使用率は17.2%で、蒲島氏が要請判断の目安とする「15%」を突破。県幹部は「九州各県や類似の状況にある他県と連携しながら適切なタイミングで要請したい」と緊張感を高める。
 大阪府の吉村洋文知事は14日、重点措置要請の判断基準について「病床使用率35%」とする考えを示した。吉村氏は社会経済活動に打撃を与える時短営業などの私権制限に慎重な立場。この日も「重症者がいないのに(私権制限が)認められるのか」とした上で、こう語った。「重点措置を適用したから(感染が)大きく下がるものではないと思うが、やらないよりはやった方が感染の波の高さは下がる」。 (C)時事通信社