小児多系統炎症性症候群(multisystem inflammatory syndrome in children;MIS-C)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した小児において川崎病様の症状を呈する新しい疾患である。MIS-Cに対するワクチンの有効性については不明点が多かったが、米疾病対策センター(CDC) COVID-19 Response TeamのLaura D. Zambrano氏らは、ファイザー製メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン(トジナメラン)2回接種により、91%のMIS-C予防効果が認められたと報告した(MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2021年1月7日オンライン版)。(関連記事:「小児コロナ関連疾患MIS-Cの診療ポイント」

重症例はいずれもワクチン非接種

 COVID-19罹患後2〜6週の小児で発症し、消化器症状や発熱、発疹などを呈するMIS-C。COVID-19の世界的流行を受け欧米を中心に報告が相次ぎ、日本でも数例が確認されている。治療法は十分に検討されているとはいえず、主に川崎病で用いられる免疫グロブリン製剤(IVIG)やグルココルチコイドが選択されている。(関連記事:「小児のコロナ関連MIS-C、有効な治療法は」

 Zambrano氏らは今回、米国でインド型変異(デルタ)株が主流となった2021年7月1日〜12月9日に小児病院24施設で登録した入院患者(12〜18歳)をMIS-C群と2つの対照群に分け、症例対照研究により入院28日以前のトジナメラン2回接種による有効性を検証した。対照群は、①1種類以上のCOVID-19様症状を有するが、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査または抗原検査で陰性が認められた検査陰性対照群、②検査の有無は問わず、COVID-19様症状がない症候陰性対照群ーに分けた。

 調査期間中、MIS-C群は102例、対照群は181例(検査陰性対照群90例、症候陰性対照群91例)だった。入院28日以前のトジナメラン2回接種率はMIS-C群の4.9%に対し、対照群では35.9%と有意に高く(P<0.01)、MIS-Cに対するワクチンの有効性は91%(95%CI 78〜97%)だった。なお、MIS-C群のうち生命維持装置を必要とした38例全例がワクチン非接種であり、9例が侵襲的人工呼吸を、35例が血管作動性輸液を、1例が体外式膜型人工肺(ECMO)を必要とした。死亡例は認められなかった。

 以上の結果を踏まえ、同氏らは「最近の別の研究でも12〜18歳のCOVID-19関連入院に対する高い有効性が認められていることから、mRNAワクチン接種はMIS-Cを含む小児の重度COVID-19関連合併症の予防に有効である可能性が高い」とコメントしている。

(平山茂樹)