新型コロナウイルスの感染再拡大の渦中にある欧州で、感染者や濃厚接触者の隔離期間を短縮するなど、規制緩和の動きが進んでいる。ワクチン接種を完了した成人の割合が80%を超えており、変異株「オミクロン株」が従来株に比べ重症化しにくい傾向がある点を踏まえ、各国は経済活動の継続を優先している。
 ◇ロックダウン回避
 最近の1日当たりの新規感染者が30万人を超えるフランスでは昨年11月、幼稚園や小学校のクラス内で一人でも陽性者が出れば学級閉鎖としてきた措置を緩和。濃厚接触者となった他の児童らは検査で陰性なら登校できるように変更し、保護者らが働き続けられるよう配慮した。
 さらに仏政府は今月初旬、陽性または濃厚接触者となった場合の隔離期間を短縮。ワクチン接種を完了し、検査で陰性なら隔離が免除されるようになった。ドイツや英国、イタリアなどでも同様の緩和措置が取られている。各国政府は一律のロックダウン(都市封鎖)を控えるなど、経済に打撃を与える行動制限を極力避ける方針だ。
 英国では昨年末から年始にかけて感染者が急増し、一時は1日当たりの新規感染者が20万人を超えたが、15日には約8万人まで減った。「(オミクロン株による感染の)ピークは過ぎた」との見方も一部で出ている。
 一方、オランダ政府は昨年12月半ば、ロックダウンを本格的に再導入。オミクロン株の感染急拡大が続けば「医療体制に過度な負担がかかる」(政府)との判断に基づき、生活必需品以外を扱う店舗や飲食店を閉鎖するなど、冬季休暇中の市民生活を大きく制限した。ただ、厳しい措置に抗議する人々と警察との衝突が国内各地で相次ぐなど市民の不満は高まっている。
 ◇未接種者に圧力
 ワクチン接種完了者への規制が緩和される一方で、未接種者の行動に対する制約は強まっている。仏政府は、飲食店や公共施設の利用に当たり、接種を事実上義務付ける「ワクチンパス」の導入方針を決定。近く法案が成立する見通しだ。
 独伊両国も類似の措置を導入している。独政府は一般市民の接種義務化も目指すが、人権への配慮など整理する課題が多く、議会承認は3月と今冬の流行には間に合わない見通しだ。欧州連合(EU)共通の接種証明については来月から、有効期限を接種完了から9カ月とし、追加接種しないと失効することになった。
 しかし、今後も数カ月ごとに接種を続けることには懸念の声も上がっている。欧州医薬品庁(EMA)の担当者は今月11日の記者会見で、「短期間で接種を繰り返すことは持続可能な長期戦略にはならない」と指摘。免疫機能に悪影響が及ぶ可能性にも言及した。 (C)時事通信社