岸田文雄首相は17日午後の衆院本会議で、就任後初の施政方針演説を行った。新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染急拡大を受け、医療逼迫(ひっぱく)の回避に全力を挙げる考えを表明。「脱炭素」の取り組みを成長の柱に据え、経済・社会の「大変革」に取り組む方針を示した。
 首相は、国民の「信頼と共感」を基礎に、コロナ禍の克服に「全身全霊で取り組む」と強調。感染急拡大の影響で入院できず、自宅で亡くなる人が相次いだ昨夏の「第5波」を念頭に、「病床が逼迫するような緊急事態は、何としても避けなければならない」と訴えた。
 その上で、在宅・宿泊療養体制の強化やワクチン3回目接種の前倒しなどを進めると説明。オミクロン株に対して「過度に恐れることなく、最新の知見に基づく対応を、冷静に進める覚悟だ」と決意を示した。
 これまでのコロナ対応を検証し、「6月を目途に、司令塔機能の強化や感染症法の在り方、保健医療体制の確保など、中長期的観点から必要な対応を取りまとめる」と打ち出した。
 看板政策の「新しい資本主義」については「今春、グランドデザインと実行計画を取りまとめる」と明言。「成長と分配の好循環」を具体化するため、賃上げ率の低下傾向が続く春闘に関し、各企業に「このトレンドを一気に反転させることを期待する」と呼び掛けた。
 首相はまた、脱炭素の取り組みを「新しい時代の成長を生み出すエンジン」と位置付け、官民の投資を早期に倍増させる考えを表明。2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標達成に向け、「産業構造、国民の暮らし、地域の在り方にわたる大変革に取り組む」と述べた。
 外交・安全保障分野では、バイデン米大統領と早期に会談し、「日米同盟の抑止力・対処力を一層強化する」と宣言。国交正常化50年の節目を迎える中国については「責任ある行動を強く求めると同時に、建設的かつ安定的な関係の構築を目指す」と述べた。相次ぐ北朝鮮の弾道ミサイル発射などを踏まえ、「敵基地攻撃能力」保有の検討を含め、防衛力を抜本的に強化する方針も示した。
 重視する「核兵器のない世界」の実現に向け、各国の政治指導者らが参画する「国際賢人会議」を、年内に地元・広島で開催する考えを明らかにした。5月に本土復帰50年を迎える沖縄の振興に取り組む姿勢を示した。
 一方、国土交通省の統計書き換え問題について、首相は「国民におわびする」と陳謝。信頼回復に努める考えを強調した。 (C)時事通信社