2021年11月に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新たな変異株オミクロンが報告された南アフリカでは、同時期に感染流行の第四波に突入した。同国・Netcare Ltd South AfricaのCaroline Maslo氏らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者のデータを第一~三波と第四波で比較。解析の結果、第四波の入院患者は少なく、若年傾向、女性が多いなどの特徴が明らかになったと、JAMA2021年12月30日オンライン版)に発表した。

SARS-CoV-2陽性率26%に到達するまでの期間で比較

 2021年11月24日に南アフリカで報告されたオミクロン株。変異したスパイク蛋白質の数が多いため、ワクチンを回避して拡散するのではないかと懸念されている。

 同国ではこれまでにCOVID-19の流行の波が3回発生している。第一波は従来株が流行した2020年6~8月、第ニ波はベータ株の2020年11月~21年1月、第三波はデルタ株の2021年5~9月だ。そして、オミクロン株の報告と時期を同じくして再びSARS-CoV-2感染者数が増え始め、2021年11月15日に第四波に突入。12月7日にはSARS-CoV-2陽性率が26%に達した。

 Maslo氏らは、同国の急性期病院49施設の電子管理システムから、流行初期にSARS-CoV-2陽性で救急外来を受診した患者(第一波は3,875例、第ニ波は4,632例、第三波は6,342例、第四波は2,351例)のデータを抽出。流行初期におけるCOVID-19入院患者の特徴(患者背景、酸素吸入および人工呼吸管理の有無、集中治療室の入室、入院期間、死亡率)を、第四波と第一~三波で比較した。評価期間は、SARS-CoV-2陽性率が26%に達するまでの期間とした(第一波は2020年6月14日~7月6日、第ニ波は2020年12月1日~23日、第三波は2021年6月1日~23日、第四波は2021年11月15日~12月7日)。

入院患者の24.2%はワクチン接種済み

 解析の結果、入院患者は第一~三波の67.8~69.3%に対し、第4波では41.3%にとどまった(P<0.001)。入院患者の年齢中央値は、第一~三波の53~59歳に対し、第四波では36歳と有意に若かった(P<0.001)。また男女比を見ると、第一~三波に比べ第四波では女性の割合が有意に大きかった(P<0.001)。

 併存疾患(糖尿病、心臓病、高血圧、慢性腎不全、慢性肺疾患、がん)を有する患者の割合、入院時に急性呼吸器疾患を呈する患者の割合は、いずれも第一~三波に比べ第四波で有意に小さかった(P<0.001)。第四波の入院患者の24.2%はワクチンを接種済みだった(ヤンセン/ジョンソン・エンド・ジョンソンのAd26.COV2.Sを1回接種またはファイザーのトジナメランを2回接種)。

第四波では入院期間、死亡率とも有意に良好

 酸素吸入を要する患者の割合、人工呼吸管理を要する患者の割合は、いずれも第一~三波に比べ第四波で有意に小さかった(酸素吸入:74.0~82.0% vs. 17.6%、人工呼吸管理:8.0~16.4% vs. 1.6%、いずれもP<0.001)。集中治療室の入室は、第一~三波の29.9~42.0%に対し、第四波では18.5%と有意に少なかった(P<0.001)。

 入院期間の中央値は、第一~三波では7.0~8.0日だったが、第四波では3.0日と有意に短縮した(P<0.001)。死亡率は、第一~三波では19.7~29.1%だったが、第四波では2.7%と有意に低かった(P<0.001)。

 以上の結果から、Maslo氏らは「南アフリカの第四波初期段階におけるCOVID-19入院患者の特徴として、若年で併存疾患が少ない、入院期間が短く呼吸状態が良好である、重症化しにくく死亡率が低いことが明らかになった」と結論。さらに、「南アフリカでは、2021年12月時点で成人人口の44.3%がワクチン接種を済ませており、50%以上がCOVID-19に罹患している。第一~三波と第四波の違いが、既存の獲得免疫や自然免疫の影響によるものなのか、オミクロン株がそれ以前の変異株よりも病原性が低い可能性があるのか否かを判断するには、さらなる研究が必要だ」と付言している。

(比企野綾子)