フランス・University Paris Est CréteilのCharlotte Fenioux氏らは、がん薬物療法を受けている固形がん患者163例を対象に、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの2回目および3回目接種の有効性を検討する前向きコホート研究を実施。ワクチン2回目接種から28日後の時点で免疫応答が低かった患者に対して3回目の接種を行ったところ、患者の75%でIgG抗体価の上昇が見られたと、JAMA Oncol2022年1月7日オンライン版)に報告した。同氏らは、がん薬物療法を受けている固形がん患者は、2回目のワクチン接種から1カ月後には3回目の追加接種を受ける必要があるとの見方を示している。

フランスにおける単施設コホート研究

 一般に、がん患者は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患しやすく、重症化リスクも高いとされている。しかし、免疫不全患者や免疫抑制薬を使用中の患者はSARS-CoV-2ワクチンの臨床試験の対象から除外されており、抗がん薬治療中の患者における同ワクチンの免疫原性は明らかになっていない。また、これまで薬物療法中の固形がん患者に対するブースター接種の有効性はほとんど報告されていない。

 そこで、Fenioux氏らはがん薬物療法を受けている固形がん患者を対象に、SARS-CoV-2ワクチン2回目および3回目接種の有効性を評価する単施設の前向きコホート研究を実施。検討ではがん薬物療法の種類(殺細胞性抗がん薬/免疫療法/分子標的薬)とワクチン接種タイミングにも着目した。

 対象はがん薬物療法を受けている固形がん患者163例で、2021年2月1日~5月31日にフランス・Hôpital Henri Mondorでファイザー製のSARS-CoV-2ワクチンBNT162b2を2回接種した(2回目接種は初回接種から21日後)。このうち、2回目接種から28日後の時点でワクチンに対する免疫応答が低く、SARS-CoV-2スパイク蛋白質に対する抗体価(IgG抗体価)が低値(1,000AU/mL未満と定義)だった患者36例を対象に3回目接種を実施した。抗体検査はワクチンの初回、2回目、3回目接種時および2回目、3回目接種から28日後および3カ月後に実施した。

4割で2回目接種から3カ月後にIgG抗体価が低下

 対象の年齢は27~89歳(中央値66歳)、男性が53%だった。がん薬物療法の内訳は、化学療法が75%(122例)、分子標的薬が16%(26例)、免疫療法が9%(15例)。追跡期間の中央値は14週間だった。

 IgG抗体価が1,000AU/mLを超えた患者の割合は、ワクチン2回目接種時の15%(145例中22例)から2回目接種28日後には65%(142例中92例)へと上昇した(中央値はそれぞれ30.4AU/mL、1,996.3AU/mL)。一方で、2回目接種から3カ月後には、64例中27例(42%)でIgG抗体価は1,000AU/mLを下回り、抗体産生の低下が認められた。

 また、2回目接種28日後の時点で免疫応答が低く、3回目接種を行った患者36例(化学療法30例、分子標的治療6例)のうち75%(27例)ではIgG抗体価が1,000AU/mLを超える血清学的反応が認められた(中央値7,435.3AU/mL)。

化学療法および分子標的療法がIgG抗体価低値と関連

 がん薬物療法の種類と抗体産生との間には関連が見られ、ワクチン1回目接種から28日後の時点のIgG抗体価は、免疫療法を受けている患者と比べて化学療法または分子標的治療を実施している患者で有意に低かった(オッズ比5.4、95%CI 1.5〜20.2、P=0.02)。ただし、影響する因子は特定されなかった。また、投与スケジュール(毎日/毎週/隔週/3週ごと)およびワクチン接種から化学療法実施までの期間(48時間以内/48時間超)は抗体産生に影響していなかった。

 以上を踏まえ、Fenioux氏らは「SARS-CoV-2ワクチンの2回目接種後に免疫応答が低かった患者の多くで、3回目のワクチン接種によりIgG抗体価の上昇が認められた。がん薬物療法を受けている固形がん患者は、2回目のワクチン接種から1カ月後には3回目のブースター接種を受ける必要性が示唆された」と結論づけている。

(編集部)