非糖尿病の肥満成人に対するGLP-1受容体作動薬2剤(注射薬)の体重減少効果を比較したランダム化比較試験STEP 8の結果を、米・Washington Center for Weight Management and ResearchのDomenica M. Rubino氏らがJAMA2022; 327: 138-150)に報告。セマグルチド週1回投与はリラグルチド1日1回投与と比べて68週後の体重を有意に減少させ、最も多い有害事象は両群とも胃腸障害だった。

338例を実薬、プラセボ各2群にランダム化割り付け

 セマグルチドとリラグルチドはともに日本では2型糖尿病治療薬で肥満症は適応外だが、米国では糖尿病の有無を問わず肥満治療薬として承認されている。STEPは、肥満治療薬としてのセマグルチドの有効性と安全性を検討する一連の第Ⅲ相試験で(関連記事「肥満症薬物療法の復権 セマグルチドがもたらす夜明け」)、今回報告されたSTEP 8では初めてセマグルチドとリラグルチドを直接比較した。

 対象はBMI 30以上またはBMI 27以上+体重関連合併症(高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、心血管疾患)を1つ以上保有する非糖尿病成人で、2019年9〜11月に米国の19施設で338例を登録。セマグルチド2.4mg/週1回皮下投与を行うセマグルチド群(126例)と対応するプラセボ群、リラグルチド3.0mg/1日1回皮下投与を行うリラグルチド群(127例)と対応するプラセボ群の4群に3:1:3:1でランダムに割り付けた。

 セマグルチド群は0.25mg/週で開始し、16週で最大用量(2.4mg/週)まで増量した。2.4mgに不耐の患者には再度の増量を推奨した上で1.7mgを許容した。リラグルチド群は0.6mg/日で開始し、4週または5週で最大用量(3.0mg/日)まで増量した。3.0mgに不耐の患者は治療を中止したが、4週間の用量再設定を経ての再開も可能とした。

 セマグルチド群とリラグルチド群の比較は非盲検で、各実薬群とプラセボ群の比較は二重盲検とした。いずれの群も食事・運動カウンセリングを併用した。

 主要評価項目は68週時のベースラインからの体重変化率で、副次評価項目は実薬群における68週時の10%以上、15%以上、20%以上の体重減少達成率、および実薬群(セマグルチド群/リラグルチド群)とプールしたプラセボ群(85例)との比較とした。

体重率はセマグルチドで−15.8%

 対象は338例(女性78.4%、白人73.7%)で、年齢、体重、BMIの平均値(標準偏差)は、それぞれ49歳(13歳)、104.5kg(23.8kg)、37.5(6.8)だった。271例(80.2%)が治療を完遂し(68週時に治療継続中)、319例(94.4%)が試験を完遂した(75週時の評価に参加)。

 試験前と比較した平均体重変化率は、セマグルチド群が−15.8%、リラグルチド群が−6.4%だった(群間差−9.4%ポイント、95%CI −12.0~−6.8%ポイント、P<0 .001)。プラセボ群の体重変化率は−1.9%だった。

 10%以上、15%以上、20%以上の体重減少達成率は、セマグルチド群でリラグルチド群と比べ有意に高かった〔10%以上:70.9% vs. 25.6%、オッズ比(OR)6.3、95%CI 3.5~11.2、15%以上:55.6% vs. 12.0%、同7.9、4.1~15.4、20%以上:38.5% vs. 6.0%、同8.2、3.5~19.1、全てP<0.001〕。プラセボ群で10%以上、15%以上、20%以上の減量を達成したのはそれぞれ15.4%、6.4%、2.6%だった。

 治療中止率はセマグルチド群13.5%、リラグルチド群27.6%、プラセボ群17.6%だった。

 全ての有害事象はセマグルチド群の95.2%、リラグルチド群96.1%、プラセボ群の95.3%に認められた。実薬群で頻度の高い胃腸障害はそれぞれ84.1%、82.7%、55.3%で、多くは軽度〜中等度だった。重篤な有害事象の発現率は7.9%、11.0%、7.1%で、有害事象による中止は3.2%、12.6%、3.5%だった。

 Rubino氏らは「肥満・過体重の非糖尿病成人において、食事・運動カウンセリングへのセマグルチド週1回追加は、リラグルチド1日1回追加と比べ68週時の体重減少が有意に大きかった」と結論した。

(小路浩史)

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