経団連は18日、2022年春闘の経営側指針となる「経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)を発表した。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ業績が回復した企業は、基本給を底上げするベースアップ(ベア)の実施を含め、「新しい資本主義の起動にふさわしい賃金引き上げが望まれる」と明記した。業績回復のばらつきが拡大しているため、一律の数値目標を掲げた呼び掛けは見送った。
 昨年は、大企業の定期昇給とベアを合わせた月例賃金の上昇率が経団連の集計で1.84%と8年ぶりに2%を割り込んだ。岸田文雄首相は昨秋、業績がコロナ前の水準に回復した企業に対し、「3%を超える賃上げ」への期待感を表明。製造業を中心に輸出企業は業績が回復しているが、変異株「オミクロン株」の感染が急拡大する中、宿泊・飲食など非製造業を含めて賃上げがどの程度実現するかは不透明だ。
 記者会見した経団連の大橋徹二副会長(コマツ会長)は「(賃上げは)労使が自社の支払い能力などの状況を確認しながら決めていく。一律ではない」と強調。その上で「苦しい状況にある産業は、まず事業継続や雇用維持だ」と述べた。
 報告は、「賃上げのモメンタム(勢い)を維持していくことが重要」と強調。雇用の7割近くを占める中小企業の賃上げを可能にするため、大企業に対して中小との取引価格に原材料が高騰した分の転嫁を認めるなど、「社会的な視座に立つ」よう求めた。育児や介護の負担が女性に偏る現状を是正するため、男女ともに仕事を続けながら育児や介護がしやすい環境づくりの重要性も訴えた。 (C)時事通信社