免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は、がん治療に革新的な進歩をもたらしたが、3分の1を超える患者で免疫関連有害事象(irAE)が発現し、特に皮膚関連のirAE(cirAE)が頻発(発現率20~40%)することが問題となっている。米・Massachusetts General HospitalのKimberly Tang氏らは、ICI投与開始後にcirAEが発現した患者群と発現しなかった対照群(各7,008例)を対象にした後ろ向きコホート研究でcirAE発現と死亡率の関連を検討。その結果、ICI投与開始後6カ月時点の解析で、cirAEの発現が死亡率に強く関連することが示されたとJAMA Dermatol2022年1月12日オンライン版)に発表した。

欧米2億人超の医療研究データベースを利用

 Tang氏らはまず、欧米の患者2億人超の電子医療記録が登録された国際医療研究データベースTriNetX Diamond Networkから、消化器がん、気管支・肺がん、尿路がん、悪性黒色腫に対する抗PD-1抗体(cemiplimab、ニボルマブ、ペムブロリズマブ)または抗PD-L1抗体(アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ)による治療開始後にcirAEを発現した患者7,008例(平均年齢68.2歳、女性43.3%)を抽出(抗CTLA-4抗体イピリムマブは除外)。

 次に、傾向スコアマッチングを用いて1:1で年齢、性、人種、がんの種類をマッチさせたcirAEを発現していない対照群7,008例(同68.3歳、43.4%)を設定し、解析に組み入れた。

 Benjamini-Hochberg(BH)法による多重性の調整を行い、患者背景、がんの種類およびステージを調整したCox比例ハザードモデルを用いて対照群に対するcirAE発現群における死亡のハザード比(HR)を算出した。

皮膚瘙痒症、薬疹などの発現例で死亡率が有意に低下

 生存期間の中央値はcirAE発現群で1,278日(四分位範囲558日~未到達)、対照群で1,024日(同455日~未到達)だった。

 BH法を用い偽発見率を0.05(有意水準P=0.001)とした解析の結果、皮膚瘙痒症(HR 0.695、95%CI 0.602~0.803、P<0.001)、薬疹(同0.755、0.635~0.897、P=0.001)、乾皮症(同0.626、0.469~0.834、P=0.001)、非特異的発疹(同0.704、0.634~0.781、P<0.001)、なんらかのcirAE(同0.778、0.726~0.834、P<0.001)の発現は死亡率の有意な低下と関連していた。

 乾癬(HR 0.703、95%CI 0.497~0.994、P=0.045)および扁平苔癬/苔癬様皮膚炎(同0.511、0.279~0.939、P=0.03)でも死亡率の有意な低下が認められたが、BH法の有意水準P=0.001には達しなかった。

 また、有意ではないものの、湿疹様皮膚炎(HR 0.612、95%CI 0.314~1.195)、白斑(同0.534、0.254~1.123)、水疱性類天疱瘡(同0.524、0.140~1.956)、Grover病(同0.468、0.115~1.898)でも死亡率の低下傾向が見られた。

多汗症と粘膜炎の発現例では低下せず

 一方、多汗症(HR 1.381、95%CI 0.961~1.985、P=0.08)および粘膜炎(同1.161、0.920~1.466、P=0.21)では死亡率の低下が認められなかった。

 以上を踏まえ、Tang氏らは「ICI投与開始後のcirAE発現は、ICIに対する治療反応性と生存率に強く関連しており、良好な治療反応性の臨床指標になりうることが示唆された」と結論。「今後の研究で、cirAEの管理と生存率の関連性や、cirAEが発現した場合にICIの中断または中止が臨床的に求められるかどうか、中断・中止が全生存率に関連するかどうかを検討する必要がある」と付言している。

(太田敦子)