【ベルリン時事】ドイツ政府が導入を目指す新型コロナウイルスワクチンの接種義務化をめぐり、変異株「オミクロン株」拡大を受けて連立与党内から異論が出ている。オミクロン株には既存ワクチンが効きにくく、感染しても軽症にとどまる傾向がある上、今後も新たな変異株が発生する可能性があることから、拙速な義務化は避けるべきだと慎重な意見が出始めた。
 欧州では、オーストリアが2月から全成人へのワクチン義務化を導入する。フランス議会も今月16日、接種を飲食店などを利用する条件とする法案を可決した。
 一方、ドイツでは義務化が3月に議会承認される見通しだが、施行は今秋にずれ込むとも予想される。この間の感染状況の変化に議論が左右されそうだ。
 独連立与党の一角、自由民主党(FDP)幹部のシュテファン・トマエ氏は17日の南ドイツ新聞(電子版)に「オミクロン株はゲームのルールを変えた」と指摘。「次の冬に効果が薄れ、あるいは新変異株に対し弱体化するかもしれないワクチンを夏に打つ前に、待つことを考えるべきではないか」と語った。
 哲学者や法律家らで構成し、政府に倫理面での助言を行う倫理委員会は昨年12月、義務化を支持する勧告を発表した。しかし、同委員会のブイクス委員長は今月13日、シュピーゲル誌(電子版)のインタビューで、ドイツでは12月に広がったオミクロン株について「十分に議論できていない。デルタ株を想定して勧告を作成した」と明かした。「事実関係が変われば、それに基づく考察も変わる」と語り、感染状況次第で結論が変わり得ると主張している。
 世界保健機関(WHO)によると、オミクロン株は既存のワクチンによる免疫を回避する傾向がある。WHOの新型コロナワクチンに関する技術諮問委員会は11日、変異株に対応する新たなワクチン開発は、新変異株の出現ペースが速いと追い付けないという課題があると懸念を示している。 (C)時事通信社