【ワシントン時事】バイデン米大統領(79)は20日、就任1年を迎える。トランプ前政権下で顕在化した社会の分断は癒えず、中産階級の再生で強さを取り戻す戦略は思うように進んでいない。新型コロナウイルスの猛威や物価高に直面し、支持率は低下。与党優位で頼みのはずの議会も政策実現の壁となり、「一つの米国」へと導く理想は遠のいている。
 バイデン氏の執務室には、民主党の象徴的人物、フランクリン・ルーズベルト元大統領の肖像画が飾られている。しばしばその名前に言及し、1930年代の大恐慌時、巨額の公共投資で経済を底上げした「ニューディール政策」に匹敵する政策の実現を公言してきた。
 新型コロナ対策法で1.9兆ドル(約216兆円)を手当てし、1兆ドル(約114兆円)のインフラ投資法も超党派で成立させた。20年にわたるアフガニスタン戦争も昨年8月に終結させた。
 「私は中間層の負担を減らすために大統領に立候補した」。こう訴えてきたバイデン氏は、医療・子育て支援を盛り込んだ大型歳出法案「ビルド・バック・ベター(より良い再建)」を何よりも重視。昨年末までに成立させ、今年11月の中間選挙の「目玉」とする算段だった。
 しかし、バイデン氏の支持率は夏に入ってから下降し始める。庶民を苦しめる物価高が進み、消費者物価指数(CPI)は昨年12月の時点で前年同月比7.0%上昇し、約40年ぶりの高水準となった。コロナ対応に尽力するも、累積死者数は約85万人で、就任時の約2倍となった。
 政権の一連の実績は厳しい現実への不満に埋もれ、政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の世論調査によると、就任時に55.5%だったバイデン氏の支持率は42.0%に下落した。
 バイデン政権が上下両院で優勢を握る議会運営でつまずいているのは、「打倒トランプ」という共通の目標を失った与党民主党が内部で路線対立を繰り広げているからだ。
 「大きな政府」を志向する急進左派が大胆な財政出動を求めれば、財政規律重視の中道派が「インフレを助長する」と待ったをかける。バイデン政権の「看板」となる大型歳出法案や、有権者の投票機会を守る法案は暗礁に乗り上げたままだ。
 中間選挙で上下両院の多数派を共和党に奪われれば、バイデン氏が描く具体的な成果は事実上出せなくなる。局面打開へ指導力を発揮できるのか、任期の折り返しに向けて重要な2年目に突入する。 (C)時事通信社