不妊治療を受ける肥満の女性に対しては妊娠前の減量が勧められ、妊娠率および出産アウトカムが向上するとされるが、確かなエビデンスに乏しい。米国・Penn State College of MedicineのRicahrd S. Legro氏らは、妊娠前の生活習慣介入+抗肥満薬の有効性を検討するランダム化比較試験(RCT)を実施し、結果をPLoS Med2022; 19: e1003883)に報告した。

不妊歴1年以上の肥満女性約380例に介入

 肥満女性の減量は妊娠率の向上だけでなく、健康な出産アウトカムに寄与するとされている。加えて、肥満と不妊には強い関連があることが知られている。一方、妊娠前の肥満女性に対する介入のベネフィットは少ないとの報告もある。そこでLegro氏らは、不妊の肥満女性に対する妊娠前の生活習慣への介入パターン別に、妊娠率および出産アウトカムを比較するRCTを検討した。

 対象は、2015年7月〜18年7月に米国9施設で登録されたBMI 30以上の肥満女性379例(18〜40歳)。健康状態は良好で不妊歴は1年以上、通常の排卵がある(年間の自発的な月経が9回以上)などを組み入れ条件とした。また、男性パートナーはRCT開始1年以内に総運動精子数が500万個以上を有することなどを条件とした。

 379例を標準介入群191例、集中介入群188例にランダムに割り付け、それぞれ16週間の介入を行った。通常介入群に対しては目標体重を設定せず身体活動量の増加のみを指導し、集中介入群に対しては身体活動量の増加と食事指導および抗肥満薬orlistat服用による7%の減量目標を設定。健康な生児出産(形成異常がない普通体重での満期産)を評価した。

両群で妊娠率および出産アウトカムに有意差なし

 通常介入群191例中40例、集中介入群188例中31例が妊娠に至る前に脱落した。全例をintention-to-treat解析集団に含め、健康な生児出産を評価した。その結果、健康な生児出産件数は通常介入群29件(15.2%)、集中介入群23件(12.2%)で、両群に有意差は認められなかった(rate ratio 0.81、95%CI 0.48〜1.34、P=0.404)。生児出産(単胎、双胎)においても同様であった。妊娠率についても通常介入群47件(24.6%)、集中介入群52件(27.7%)と、両群に有意差は示されなかった(rate ratio 1.12、95%CI 0.80〜1.58、P=0.499)。

 減量効果については、通常介入群の−0.3%(±3.2%)に比べ集中介入群では−6.6%(±5.4%)と、有意な改善が認められた(P<0.001)。

 以上から、Legro氏らは「不妊の肥満女性に対する妊娠前の生活習慣への介入による妊娠率および出産アウトカムへの有効性は、減量の目標を設定した集中介入と設定しない通常介入で同等だった」と結論。「代謝に関する健康状態の改善は、女性の生殖能力の向上にはつながらない可能性がある」とコメントしている。

松浦庸夫

修正履歴(2022年2月2日):本文の一部を修正しました