新型コロナウイルス感染の第6波が到来する中、厚生労働省専門部会は5~11歳向け米ファイザー製ワクチンの承認を了承した。子どもの感染者は急増するが、10歳未満の死亡例の報告はない。専門家は「接種の意義はあるが、健康なら優先度は低い」とし、予防接種法に基づく努力義務の適用にも慎重だ。
 厚労省によると、18日までの1週間に報告された10歳未満の感染者は1万2947人。前週の約5.7倍に急増し、各地で小学校の学級閉鎖などが相次ぐ。
 長崎大の森内浩幸教授(小児科学)は「5~11歳は重症化率が最も低い年齢層で、健康なら命に関わる例は極めてまれだ」と分析。接種について「重症化予防の意義はあるが優先度は低い。高齢者や基礎疾患を持つ人らへの3回目完了のめどが立ってからでいいのでは」と訴える。
 森内氏は、呼吸器疾患など基礎疾患がある場合は「命に関わる恐れがある」と接種を強く推奨する。ただ、現在主流のオミクロン株は2回接種後の感染も相次いでおり、「予防効果は低く、集団免疫形成はあまり期待できない。12歳以上と同じ努力義務は不要では」と話す。
 新潟大の斎藤昭彦教授(小児感染症学)は「オミクロン株は感染力が強く、特に小学生はほとんどが未接種のため学級閉鎖が相次いでいる」と指摘。「努力義務にするかは難しい判断だが、本人の重症化予防に加え、同居高齢者らに感染を広めないためにも接種意義は大きい」と説明する。
 接種が先行する米国では、心筋炎などの副反応の頻度は他の年代より低いとされる。斎藤氏は「米国のデータを見る限り、安全性の問題は少ない。ただ、日本の子どもには初めての接種になるので副反応の傾向を慎重に見るべきだ」と強調。「本人や保護者が納得して受けるのは当然だが、集団接種では子どもが暴れたり叫んだりして会場でパニックが広がる恐れもある。自治体や医療機関は、一人一人の状況や体調を注視して進めてほしい」と呼び掛ける。 (C)時事通信社