英・University of EdinburghのTing Shi氏らは、同国のワクチンと予防接種の合同委員会(JCVI)の要求に応じた国家インシデントコホート研究により、スコットランドの成人喘息患者における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の転帰を検討。その結果、直近2年間に2コース以上の経口ステロイド薬の処方歴または喘息による入院歴があった患者は非喘息患者と比べてCOVID-19による入院、集中治療室(ICU)入室、死亡のリスクが高かったとLancet Respir Med2022年1月13日オンライン版)に発表した。同氏らは「最近の喘息発作歴を有する者はCOVID-19ワクチン追加接種(ブースター接種)の優先対象とすべき」としている。

SARS-CoV-2陽性の成人喘息患者、12.3%が入院

 解析対象は、スコットランドのCOVID-19データベースEarly Pandemic Evaluation and Enhanced Surveillance of COVID-19(EAVEⅡ)に登録され、2020年3月1日の時点で18歳以上だった全ての成人442万1,663人で、うち56万1,279人(12.7%)が喘息と診断されていた。喘息患者のうち3万9,253人(7.0%)が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染陽性と確定診断され、4,828人(12.3%)がCOVID-19により入院していた〔うち推定600人(12.4%)は院内感染の可能性あり〕。

 全例を2020年3月1日から死亡または研究終了(2021年7月27日)のいずれか早い時点まで追跡し、COVID-19による入院リスク、ICU入室または死亡の複合リスクを検討した。

 また、2020年3月1日までの2年間における経口ステロイド薬の処方歴または喘息による入院歴を喘息発作の発症を示すマーカーとして用い、層別化した解析も行った。

喘息入院歴ありでCOVID-19入院3倍、ICU入室・死亡2倍超

 年齢、性、社会経済的地位、併存疾患、入院歴、ワクチン接種歴を調整したCox比例ハザードモデルによる解析の結果、喘息患者は非喘息患者と比べてCOVID-19による入院のリスクが高かった〔調整後ハザード比(HR)1.27、95%CI 1.23~1.32〕。経口ステロイド薬の処方歴で層別化した調整後HRは、3コース以上の処方で1.54(95%CI 1.46~1.61)、2コースで1.37(同1.26~1.48)、1コースで1.30(同1.23~1.37)、処方なしで1.15(同1.11~1.21)だった。喘息による入院歴で層別化した調整後HRは、入院歴ありで3.01(95%CI 2.59~3.49)、入院歴なしで1.24(同1.20~1.29)だった。

 また、喘息患者は非喘息患者と比べてCOVID-19によるICU入室または死亡の複合リスクも高かった(調整後HR 1.13、95%CI 1.05~1.22)。経口ステロイド薬の処方歴で層別化した調整後HRは、3コース以上の処方で1.44(95%CI 1.31~1.58)、2コースで1.27(同1.09~1.48)、1コースで1.04(同0.93~1.16)、処方なしで1.06(同0.97~1.17)だった。喘息による入院歴で層別化した調整後HRは、入院歴ありで2.24(95%CI 1.56~3.20)、入院歴なしで1.11(同1.03~1.19)だった。

 以上を踏まえ、Shi氏らは「喘息発作歴のマーカーとして2020年3月1日までの2年間に2コース以上の経口ステロイド薬の処方歴または喘息による入院歴があった成人喘息患者は、非喘息患者と比べCOVID-19による入院リスク、およびCOVID-19によるICU入室または死亡の複合リスクが高かった。このような喘息発作歴を有する患者はCOVID-19ワクチン追加接種の優先対象とすべきである」と結論。優先接種対象となりうる成人喘息患者をスコットランドで16万910人、英国全体では(重症喘息の有病率がスコットランドと同等であるとして)193万920人と推計している。

(太田敦子)