欧州の腎移植患者を対象とした後ろ向き研究から、移植腎機能喪失後の生存期間の延長は透析治療と比べて再移植で優れることが示された。ただし、再移植までの待機期間が長くなると、再移植による生存期間の延長効果は低下することも明らかになった。オーストリア・Medical University of ViennaのRainer Oberbauer氏らがClin J Am Soc Nephrol2022; 17: 90-97)に報告した。

2,346例を後ろ向きに解析

 献腎移植を受けた患者の移植腎が機能する期間の中央値は10~15年と報告されている。しかし、移植腎の機能が喪失した患者が再移植を受けるべきか、あるいは透析治療を受けるべきかの判断を助けるデータは少ない。

 そこで、Oberbauer氏らは今回、オーストリアの透析・腎移植患者登録(Austrian Dialysis and Transplant Registry)および欧州8カ国の臓器移植ネットワークであるEurotransplantの1980~2019年のデータを用いて、移植腎の機能が喪失し2回目の腎移植を待機中の18歳以上の患者2,346例を対象に後ろ向きに解析した。

待機1年未満で生存期間8.0カ月延長

 その結果、再移植を受けた患者では、移植待機中で維持透析を受けていた患者と比べて追跡開始から10年後の時点における平均生存期間が5.8カ月長かった(95%CI 0.9~11.1カ月)。ただし、透析治療中であった患者との間に認められた平均生存期間の差は再移植までの待期期間により変化。待機期間が1年未満の患者では8.0カ月(95%CI 1.9~14.0カ月)であったが、待機期間が8年の患者では0.1カ月(同-14.3~15.2カ月)と短く、待機期間が長くなると再移植による生存期間の延長効果は消失することが示された。

 Oberbauer氏は「生存期間を延長させるという点では再移植の方が有利であることが明らかになった。しかし、再移植までの待機期間が長くなると生存期間の差は縮小した」と結論。また、移植を受けた患者の方がQOLは高い可能性があるとして、「適格条件を満たした腎の提供を受けられる場合には再移植を選択すべき」との見解も示している。

(岬りり子)