当初、禁煙する意思はなかった紙巻きたばこの喫煙者でも、その後電子たばこを毎日使用するようなった者では、電子たばこを使用しないものに比べ紙巻きたばこの喫煙を中断していた人の割合が高かった、とする米国のコホート研究の結果が明らかになった。米・Roswell Park Comprehensive Cancer CenterのKarin A. Kasza氏らのグループがJAMA Netw Open(2021; 4:e2140880)に報告した。

先行研究では禁煙の意思ある者で有用性示す

 これまで、紙巻きたばこの喫煙者の禁煙にニコチンを含む液体を加熱し、その蒸気を吸引する電子たばこ製品の使用が有用である可能性が複数の研究で示されている。ただ、そのほとんどは禁煙の意思がある者を対象としているか、禁煙の意思が考慮されていなかった。しかし、最近報告された米国の研究では、禁煙する意思がなかった紙巻きたばこの喫煙者でも、その後電子たばこを毎日使用するようになった人では、紙巻きたばこの禁煙についての意識に変化が見られる割合が高かったことが示されている。  

 そこでKasza氏らは今回、毎日紙巻きたばこを喫煙し、禁煙の意思はなかった者を対象に、電子たばこの使用と紙巻きたばこの喫煙の中断との関連について検討した。  

 対象は、たばこの影響に関する米国の疫学研究であるPATH研究(Population Assessment of Tobacco and Health Study)の2014年10月~19年11月に実施した調査参加者のうち、当初は毎日紙巻きたばこを喫煙し禁煙する意思はなく、電子たばこは使用していなかった18歳以上の成人1,600人(男性56.1%、非ヒスパニック系白人75.6%)。主要評価項目は、①紙巻きたばこ喫煙の中断(フォローアップ調査時に12カ月間全く喫煙していない、または全く喫煙していないと回答した割合と定義)、②毎日の紙巻きたばこ喫煙の中断(フォローアップ調査時に①の回答または毎日ではないが時々喫煙する日があると回答した割合と定義)とした。

非使用者に対する喫煙中断のオッズ比8.11  

 検討の結果、全体の6.2%が紙巻きたばこの喫煙を中断していた。フォローアップ調査時に喫煙を中断していた割合は、電子たばこを全く使用していない者の5.8%に対し、電子たばこを毎日使用していた人では28.0%と高かった〔調整後オッズ比(aOR)8.11、95%CI 3.14~20.97〕。

 また、紙巻きたばこを毎日喫煙しなくなった割合も、電子たばこを全く使用していない者の9.9%に対し、電子たばこを毎日使用していた者では45.5%と高かった(aOR 9.67、95%CI 4.02~23.25)。ただし、電子たばこを使用していた者のうち使用頻度が毎日ではない者では、喫煙の中断率および毎日の喫煙の中断率の有意な低下は認められなかった。  

 同グループは「電子たばこの毎日の使用は、禁煙する意思がなかった喫煙者における紙巻きたばこ喫煙の中断率の上昇に関連していた」と結論。また、米国で電子たばこの人気が高まりつつある一方、喫煙者の間で従来の禁煙補助薬に対する関心が極めて低いことを指摘した上で、「集団レベルでの喫煙中断率の向上を目指した臨床および規制戦略の構築には、さまざまなたばこ製品へのアクセスのしやすさや有効性を比較検討する研究が重要になる」と述べている。

(岬りり子)