心疾患患者では、合併する精神疾患に向精神薬を使用することが珍しくなく、これらの患者では死亡リスクが高まるとされる。デンマーク・ Copenhagen University HospitalのPernille Fevejle Cromhout氏らのグループは、心疾患患者における不安症状と向精神薬の使用が死亡リスクに与える影響を検証。向精神薬を処方された患者では死亡リスクが約2倍であったと、Eur J Cardiovasc Nurs2021年11月23日オンライン版)に発表した。

18歳以上の心疾患患者約1万3,000例が対象

 今回の検討は心疾患患者において、①不安症状の有無別に見た向精神薬の処方状況、②向精神薬が入院と全死亡、退院後1年死亡率に与える影響、③不安症状の有無と向精神薬処方の有無が死亡リスクに与える影響-などを評価する目的で行われた。

 対象は、2013年4月~14年4月にデンマークの国立心臓センターを退院した18歳以上の虚血性心疾患、不整脈、心不全、弁膜症性心疾患の患者で、精神疾患に関する調査に回答した1万2,913例。調査では、不安下位尺度(HADS-A)を用いてうつ症状を評価し、デンマーク国立患者登録の初回入院データに紐付けた。入院前6カ月間の向精神薬処方状況に基づき、少なくとも1回以上向精神薬が処方され、当該薬の引き換え記録があった患者を向精神薬の処方患者と定義した。

 主な患者背景を見ると、向精神薬処方患者は女性(男性:向精神薬処方患者15% vs. 非処方患者85%、女性:同26% vs. 74%)、喫煙者(喫煙者:同23% vs. 77%、非喫煙者:17% vs. 83%)、寡男/寡婦(既婚者:同16% vs. 84%、離婚者:23% vs. 77%、寡男/寡婦:27% vs. 73%)で多かった他、高齢になるほど、また併存疾患数が多いほど多かった。 一方、不安症状がある患者は全体の32%(4,085例)で、不安症状がない患者と比べて向精神薬の処方率が高く(28% vs. 14%、P<0.0001)、使用されていた向精神薬はベンゾジアゼピン系薬(68%)、次いで抗うつ薬(55%)の順に多かった。

退院後1年以内の死亡率は向精神薬処方患者で6%

 解析の結果、入院前6カ月間に向精神薬が1回以上処方されていた患者は全体の18%(2,335例)で、入院後1年以内に3%(362例)が死亡した。

  退院後1年以内の死亡率は、非処方患者の2%(232例)に対し、向精神薬処方患者では6%(130例)と有意に高く(P<0.0001)、入院前6カ月間の向精神薬処方は退院後1年以内の全死亡リスク増加に寄与していた〔オッズ比(OR)1.90、95%CI 1.46~2.46〕。また、HADS-A高値(8点以上と規定)も、退院後1年以内の全死亡リスクが約2倍に高かった(OR 1.81、95%CI 1.42~2.31)。

 さらに、HADS-A高値は、退院後1年以内の向精神薬処方リスクの増加に寄与していた(OR 2.47、95%CI 2.25~2.72)。

 以上の結果を踏まえ、研究グループは「向精神薬を処方された心疾患患者は死亡率が高く、不安症状を有する心疾患患者では向精神薬の処方率が高かった」と述べた。その上で、「向精神薬の使用は、不安症状を有する心疾患患者の死亡率上昇に部分的に関与するかもしれないが、向精神薬の使用よりも基礎疾患としての精神疾患がより強く関連しているのではないか」としている。

(編集部)